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金融市場の動揺 米国リスクへの警告だ

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 日経平均株価の今年の終値は2万0014円だった。

 バブル崩壊後の最高値を記録した10月初めから3カ月弱で約4200円も下落した。前年終値と比べても約2700円安い。

 株安傾向が長引けば企業経営者の心理は悪化し、設備投資や賃上げの意欲が低下する恐れがある。消費が冷え込み、実体経済に打撃を与えかねない深刻な事態だ。

 世界の株価は年末にかけて大荒れが続いた。直接の原因は景気減速懸念を映した米国株の乱高下だが、その震源はトランプ大統領だ。自国第一の場当たり的な振る舞いが混乱を招いている。

 トランプ政権は金融市場の動揺を米国発のリスクへの警告と認めて政策運営を軌道修正すべきだ。

 市場は米国の政治的混乱を嫌気している。トランプ氏がこだわるメキシコ国境の壁建設を巡って野党民主党との対立が深まり、政府機関が一部閉鎖された。

 「良識派」とされるマティス国防長官の辞任もマイナス要因だ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)へのトランプ氏の強硬姿勢は、将来に禍根を残しかねない。

 景気過熱の抑制へ利上げを進めるFRBのパウエル議長に、非難の言葉を投げつけている。

 FRBに慎重さが求められるのは確かだ。ただ、方針に不満があるからといって大統領が影響力を行使すれば、FRBの独立性を損ない経済を不安定にする。

 先行きの大きな不安材料である米中貿易摩擦も、仕掛けたのは保護主義を掲げるトランプ氏だ。

 自らの短慮に基づく政策運営が世界と米国の経済を傷つけていることを自覚せねばならない。

 日本の年末株価が前年を下回るのは第2次安倍政権で初めてだ。大規模金融緩和をテコに円安・株高を演出するアベノミクスの限界がここにも表れている。

 とりわけ見過ごせないのは「官製相場」の問題点である。

 日銀が緩和策の一環として買う上場投資信託(ETF)の総額は23兆円を超えた。緩和終了時に市場で売らねばならず、その際、株価が暴落するリスクがある。

 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)について、今年10~12月期の収益が15兆円規模の損失に転落するとの民間予測もある。

 成長戦略と称して運用の株式比率を高めた危うさが露呈した。

 大企業や富裕層だけでなく、広く国民に恩恵が及ぶ政策への転換が安倍政権に求められている。

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