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<壮瞥 果物に託す夢>上 「有珠の恵み」で観光振興

 「英語が通じない人にはスマホの翻訳アプリが便利だね」「中国人客には漢字で料金を説明すると伝わったよ」。今月10日、胆振管内壮瞥町内の居酒屋で、観光果樹園の経営者ら9人の農家が外国人客への対応を情報交換していた。

■果樹園が連携

 いずれも観光果樹園18カ所でつくる団体「そうべつくだもの村」のメンバー。1987年に始まったこの取り組みではリンゴやブドウなど10種類ほどの果物狩りの団体予約を一つの窓口で受け、各園に振り分けている。これにより一度に200人以上の団体も受け入れ可能となった。発案者の「初代村長」浜田英彰さん(70)は「くだもの村になって果樹園の知名度が上がり、団体客がだんだん増えていった」と振り返る。

 昭和新山や洞爺湖がある壮瞥の基幹産業は観光と農業。果樹栽培は1880年(明治13年)に北海道開拓使がリンゴの苗木300本を配ったのが始まりだ。有珠山の火山灰を含む土壌は水はけも良く、盆地のため寒暖差も大きい。果物の糖度を上げる条件がそろい、「果樹栽培適地」(胆振農業改良普及センター)という。

 しかし、各農家の経営は小規模だ。代表的な果物のリンゴでも町内の作付面積は約20軒で計約50ヘクタール、道内の1割程度にとどまる。生食用に大量に生産するのは人手がかかるため、農家は主に観光果樹園として生き残りを図ってきた。小規模の農園でも洞爺湖温泉などを訪れる大人数の団体客に対応できるようにと始まったのがくだもの村だ。

■海外客に人気

 最近は海外客にも人気が高い。2017年にくだもの村の窓口を通して予約した団体客約5千人のうち、半数の約2400人は海外客。レンタカーなどで訪れる個人客も増えている。そうべつ観光協会の阿野裕司会長(56)は「くだもの村は、昭和新山とともに町の観光に欠かせない」と話す。

 もぎたての果物を食べられるよう低農薬栽培にもこだわってきた。旅行会社コープトラベル(札幌)は「ツアー客の満足度は高い」と評価する。一方、壮瞥産の果物は市場を通じて町外にはほとんど流通していない。現在の環境では、壮瞥に足を運んでもらわなければ食べてもらえないのが実情だ。ただ、浜田さんは「市場に出してしまえば『壮瞥産』でひとくくりになる。いまのやり方ならお客さんはそれぞれの果樹園で作った果物を求めて食べに来てくれる。そうしてリピーターができることで長いおつきあいにつながっている」と笑顔を見せた。

 壮瞥で行われている果物を生かした地域活性化の取り組みを紹介する。(伊達支局の綱島康之が担当し、3回連載します)

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