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東京への人口流出止まるか 札幌・旭川・函館など中枢中核都市 周辺自治体の過疎加速も

 政府が東京一極集中と人口減少の対策として、政令指定都市や中核市など全国82市を新たに「中枢中核都市」とし、重点支援することを決めた。道内では札幌、旭川、函館の3市が対象で、政府による政策提言などでまちの魅力や経済力を高め、人口流出を食い止める狙いだ。ただ、実効性に疑問の声が上がっているほか、周辺自治体の過疎が加速する懸念もぬぐえない。東京一極集中が止まる気配がない中、実績づくりを急ぐ政府の焦りがにじむ。

 中枢中核都市構想は、21日に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2015~19年度)改定案の柱。戦略は安倍晋三政権が掲げる「地方創生」の目玉だ。

 新たに指定した中枢中核都市は、地方で人口や企業が集まる政令市や中核市などが対象。東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)や昼間人口が少ないベッドタウンは除外した。

 具体策は政策提言と、交付金の上限引き上げの2本柱。政策提言では、関係省庁の合同チームを立ち上げ、テーマごとに提言する態勢を整備する。テーマは各市からの要望を聞き取った上で決め、中心市街地活性化や、海外からの投資を呼び込みやすくする環境整備などを想定している。

 また、より大規模の事業を支援しやすくするため、地方創生交付金の国費の上限を引き上げる。先進的な事業なら中枢都市以外の市町村よりも5千万円多い2億5千万円とし、それ以外の事業でも1500万円多い8500万円とする。

■全国に「人口ダム」

 新構想の背景には、総合戦略が目に見える成果を上げていないまま、最終年度を迎える実情がある。政府は東京一極集中の打開策として東京23区にある企業の地方移転支援や、都内の大学の定員増を禁止する新法を制定。だが、地方の人口流出は止まらず、17年は全国から東京圏に約12万人が流入した。特に札幌や仙台、神戸など地方の大都市からの流入が目立つ。

 地方の都市が地域外への人口流出を食い止める能力は、川の水をせき止めるダムに例えて「ダム機能」と呼ばれる。構想は、流出が多い都市にてこ入れすることで「人口ダム」を全国に張り巡らせる狙いがある。

 ただ、道内では東京への流出だけでなく、札幌への一極集中が進む構図がある。札幌では17年、東京圏に3082人が流出した一方、旭川から1117人、函館から708人の「転入超過」となっている。

■国の方向性疑問視

 こうした中で札幌への支援を手厚くすれば、集中が加速する結果を招きかねない。道内の中枢都市幹部は「周辺自治体から人口を吸い上げるだけになりはしないか。本末転倒だ」と構想の方向性を疑問視する。「国は『一生懸命やっている』とアピールしているだけだ。地方交付税を増額するなど、もっと地方の自由度を高めてほしい」と注文を付ける。

 また、地方創生交付金事業は国と自治体が2分の1ずつ交付金を負担する仕組みで、上限引き上げによって自治体の負担も増える。別の中枢都市の担当者は「新たに対策を考えろと言われても、やれることは既にやっている。市の予算はぎりぎりで、中枢都市として交付金を受けることになれば、現行の事業をやめなければならなくなるかもしれない」と懸念している。(田口博久)

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