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官民ファンド 使命を踏まえた報酬か

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 国内最大の官民ファンドである産業革新投資機構と所管官庁の経済産業省が対立を深めている。

 経産省が田中正明社長らの高額報酬案を撤回したのを発端に、報酬の決め方や国の関与を巡って機構が反発し、協議が決裂した。

 経営陣の処遇や組織の統治は経営の根幹だ。官民ファンドと政府が認識を共有できず、信頼関係を損なえば正常な運営はできまい。

 経産省は田中社長に辞任を迫っており、2019年度の機構予算を大幅に減額する検討に入った。組織改編で発足した機構が3カ月足らずでつまずく異例の事態だ。

 官民ファンドは安倍晋三政権の成長戦略の下で設立が相次いだ。

 しかし役割やすみ分けが曖昧なまま、損失を抱えたり、政府の「第2の財布」として都合よく使われるなど問題が後を絶たない。政府は官民ファンドのあり方を根本から見直すべきではないか。

 経産省が9月に提示したのは、年間で最大1億円を超す報酬案だ。高額すぎるとの批判を受け11月に撤回したが、反発する機構は当初案を基に予算の変更を申請し、経産省が認めない決定をした。

 いったんは高額報酬を認めながら一方的に撤回すれば不信を買うのは当然だ。世耕弘成経産相らが給与の自主返納を決めたが、それで責任を取ったことになるのか。

 とはいえ、1億円超の報酬は平均2千万円台とされる他の官民ファンドと比べて破格だ。

 有能な人材を確保するには一定程度の報酬が必要との事情はあろうが、国民の資産を活用する公的機関に妥当な水準なのか。

 根底には、官民ファンドに求められる役割の曖昧さがある。

 機構の前身ファンドは経営難の大企業を救済する「国策」の色濃い投資があった。その反省から機構は新産業や成長性の高いベンチャーへの投資を掲げ、田中社長は投資収益の最大化を強調した。

 だが官民ファンドの使命は、民間だけでは難しい分野に資金を供給し、産業育成や地方企業の後押しで経済を底上げすることだ。

 民間ファンドと競って儲(もう)けることではない。収益は必要だが、それを優先すれば稼ぎの分配として高額報酬を求めることになろう。

 機構は傘下に認可外ファンドを設ける方針も示したという。それでは投資実態が把握できない。官民ファンドの透明性に対する疑問をさらに深めてはならない。

 使命とその優先順位を履き違えれば、官民ファンドの存在意義そのものが問われかねない。

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