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【藤田晋さん=サイバーエージェント社長】マージャンのプロリーグを設立

 国内初のプロマージャンリーグ「Mリーグ」が今年10月に開幕した。著名企業をオーナーとする7チームが参加し、優勝賞金5千万円をかけて来年3月までのシーズンを戦う。Mリーグの設立を呼びかけたのはIT企業大手、サイバーエージェント社長の藤田晋さん(45)。自ら、チェアマンに就任し、「マージャンの五輪種目化を目指す」という。IT企業の社長がなぜ、マージャン業界の活性化に力を入れるのか。その思いを聞いた。

賭けたら除名。スポーツ化を図り、五輪種目を目指す

 ――Mリーグ設立のきっかけは。

 「大学生時代、留年するほどマージャンにのめり込みました。一時はプロを目指しましたが、その後起業し、断念しました。2013年、同い年のマージャンプロと出会い、自分が選ばなかったプロという道はどうなっているのだろうと興味を持ったのがはじまりです。国内には五つの主要なマージャン団体がありプロは2千人ほどいますが、対局だけで食べていける人はほとんどいません。タイトルの賞金は高くても100万円程度で各団体は足を引っ張り合っている状態。そんな現状を聞いて何とかしたいという気持ちになったのです」

 ――参加チームのオーナーには電通やテレビ朝日など有名企業が名を連ねました。

 「プロ野球並みといっても過言ではないレベルの企業だと自負しています。参画企業のブランド力にはこだわりました。マージャンのイメージを一気に変えるためです。これまで、マージャンのイメージは悪く、スポンサーが付きにくかったのですが、Mリーグが賭博行為に一切関わらない『ゼロギャンブル宣言』を掲げたことなどが認められ、賛同を得られたのだと思います」

 ――大半の人は「マージャンは賭けて行うもの」と思っています。

 「Mリーグの選手は少額であっても賭けマージャンをしたら即刻除名処分とします。賭博は違法行為です。オーナーは全て上場企業であり、コンプライアンスに違反することは一切認めない。そもそも、プロは賭けても意味がないと分かっている。昔は牌(パイ)を手で積んでいましたが、今は全自動卓です。イカサマはできないので、強い人同士であれば勝ったり負けたりなので稼げない。弱い相手はやめてしまうので、やっぱり稼げないのです」

 ――Mリーグという名前は、サッカーのJリーグやバレーボールのVリーグのようなスポーツをイメージさせます。

 「狙っているのは、マージャンのスポーツ化です。スポーツといっても、体を動かすとは限らない。コンピューターゲームで対戦するeスポーツのように、ゲームをスポーツとしてとらえるのが世界の大きな流れになっている。マージャンもその一つです」

 「これまでプロマージャン団体はマージャンを将棋や囲碁の方向に寄せていきたいと考えて、スーツを着てかしこまって対戦していました。Mリーグではユニホームを着て対戦し、試合後には勝利者インタビューを行う。試合会場の近くで行うパブリックビューイング(テレビ観戦会)では、サポーターたちが応援していて、大歓声や悲鳴に包まれています。スポーツ化という方向性は正解だったと確信しています」

 ――既存のプロスポーツでは関東や関西以外をホームにするチームが多くあります。Mリーグもその方向を目指しているのですか。

 「迷っています。当初はJリーグのJ2、J3のようにどんどんチーム数を増やして地方リーグも作って、と考えていた。ただ、今はマージャンの知名度を上げる段階なので、参入企業を絞り込んでチームと選手の名前を覚えてもらうことが最優先です。北海道はマージャンが盛んなのか、東京のプロが頻繁にゲストとしてマージャン店に呼ばれています。Mリーグでも遠征試合などを企画して、選手とファンがコミュニケーションを取れる機会をつくりたいと考えています」

 ――開幕時期を10月に設定した理由は。

 「プロ野球のシーズンが終わった後、代わりの娯楽にしてほしいと思い、この時期に決めました。北海道は冬が長いので暖かい部屋での観戦を楽しんでもらいたい。マージャンの対局を観戦したことのない人でも、見たらハマりますよ」

 ――開幕から約2カ月が経過しました。手応えは。

 「インターネットテレビ局のAbema(アベマ)TVで全試合を放送しています。インターネットなので視聴者の反響がリアルタイムで分かり、現在は約15万人が見ています。これは、数分だけ見るような通りすがりの人は含まず、試合をほぼ最後まで見ている人数です」

 「アベマTVにはプロ野球や大相撲の中継など20以上のチャンネルがあり、Mリーグの視聴者数は、これらと比べても遜色ない。始まったばかりのスポーツは、最初は物珍しさから数字が上がるけれど、すぐ落ちる。ところが、Mリーグは1カ月過ぎてから伸びている。相当良い状態です。課題は、この面白さを知らない人にどう伝えて広げていくか。その意味で、Mリーガーの1人、俳優の萩原聖人さん(チーム雷電所属)のような存在はありがたいですね」

人生や経営と同じ。長い目でちゃんと努力しないと勝てない

 ――著書で「マージャンは経営や人生に生きる」と書いています。

 「将棋や囲碁はお互いが平等の同じ状態からスタートしますが、実社会においてそんなことはほとんどない。人は生まれた時から容姿や家庭環境などに差があります。マージャンで最初に配られる『配牌』も同じです。すぐに上がれそうな人もいれば、明らかに平均以下の手牌の人もいる。しかし、配牌の善しあしで結果は決まりません。努力や工夫を重ねることで、配牌からは想像できないような結果を生み出すこともできる。マージャンは運の要素が大きいと考える人もいますが、長い目で見ればちゃんと努力していないと勝てない。人生と同じです。強くなるには、自分の視点と相手の視点に加えて、俯瞰(ふかん)した視点を持って大局的に判断することが必要です。これは経営でも同じですね」

 ――マージャンを五輪種目にするというのは想像できません。

 「既に、2022年の北京冬季五輪に向けて国際マージャン連盟が室内競技の正式種目として国際オリンピック委員会(IOC)に申請しています。すぐに実現するかは分かりませんが、可能性はあります。マージャンはルールが国や地域によってバラバラなので統一するのが大変ですが、五輪用のルールができれば、それに合わせて練習すれば良い。日本代表チームをつくるとなったら、当然Mリーガーから選ばれるでしょう。子どもたちが『将来はMリーガーになりたい』と憧れるような世界をつくっていきたい」


 <後記>マージャンに染みついたマイナスイメージを拭い去るのは簡単ではない。しかし「賭けない、たばこを吸わない、酒を飲まない」という健康マージャンは道内でも広まっている。認知症予防に有効という研究結果もある。藤田さんは「生きる上でマージャンを学ぶことは必要不可欠だと思っている」という。我慢することや判断力を身に付けるために有用で「学校教育にも取り入れるべきだ」と話す。適度に楽しむ分であれば、誰もが楽しめ、さらに人生で役立つゲームだと、雀荘(じゃんそう)に通い過ぎて大学で留年した記者は思う。(阿部浩二)


 <略歴>ふじた・すすむ 1973年、福井県生まれ。青山学院大卒。98年にサイバーエージェントを創業。26歳だった2000年、当時の史上最年少社長として東証マザーズへの上場を果たす。ブログサービス「Ameba(アメーバ)ブログ」や、インターネットテレビ局「AbemaTV」は同社が設立、運営する。14年にはプロも多数参加する「麻雀最強戦」に初出場して優勝するなど、マージャンの実力はプロ級。Mリーグの「渋谷アベマズ」の監督も務める。著書に「起業家」「仕事が麻雀で麻雀が仕事」などがある。


 <ことば>Mリーグ 一般社団法人「Mリーグ機構」が運営し、最高顧問はJリーグ初代チェアマンの川淵三郎さん。同機構を構成する7社がそれぞれ所有するチームによって試合が行われ、1チーム当たり80試合を実施する。上位4チームがファイナルシリーズに進出するリーグ戦を行う。各チームにはプロ野球のドラフト会議方式で選んだ各3選手が所属。3選手の合計ポイントで順位を競う。最低保証年俸は400万円。Mリーガー21人のうち、女性は5人。道内関連では苫小牧西高卒の茅森早香選手がセガサミーに所属する。

 今季は10月から来年3月まで。2月までは毎週平日の4日間、夜7時から東京都内の特設スタジオを会場に各日2試合を行う。不定期で有料のパブリックビューイング(約180人収容)を会場近くで開き、試合後に選手が訪れて試合内容を解説する。チケットは1月10日開催分まで売り切れている。

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