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工房はまなすの美しい藍の色

工房はまなすの美しい藍の色

 夏から秋口にかけて白色衣類の漂白にはまっていた。塩素系漂白剤はおもしろいほど真っ白にしてくれて、手当りしだいに漂白剤につけこんではニンマリと。けれど、はっと気づけば紺色の部屋着まで脱色していた。袖口はもちろん、背中まで点々とピンク色に変色している。

 そうだ、染めちゃおう!地震後にタンスからおろしたダンボールには中途半端に草木染めをかじり、材料ばかり買い集めていたときの名残があるはずと、10数年ぶりに箱を開けてみる。ありましたよ、藍色染料が。色止め剤はないけれど、どうなるか実験しようっと。にわか染色家気取りでウキウキとお湯に溶かした染料に部屋着と色褪せた藍染めジャケットを浸し込む。ふふふ、染まってるみたい。お次ぎはすすぎとバケツに水を張る。水をかえること10回以上かかってようやく藍色の水の色は薄くなった。あ~~、結局すべて水に流してしまっただけ。その上、用心して扱ったはずの染料の微細な粉があちこちに散らばって、白い床に青いシミがつき、ぎゃーぎゃー言いながら拭いて歩くはめになってしまった。

 気落ちしながら思い出したのが「工房はまなす」さん。以前、「小世里のいいもの見つけた」という北海道新聞朝刊の連載で取材したことがある。札幌スタイルの認証を受ける藍染めグッズが人気の障がいがある人たちの事業所だ。せっかくお話を聞きながら、東日本大震災の影響で掲載できなくなったという経緯がある。

 いつかその埋め合わせをと思いながら7年も経ち、またお邪魔したいとお願いすると、9月の胆振東部地震の影響で建物が使用できなくなり、別の場所で活動しているとのこと。その上、併設するショップ「歩人夢(あとむ)」の閉鎖を余儀なくされてしまったと聞き、なんとも言えない気分になった。

 「藍は生きている」と聞いたことがある。事業所を訪ねると、藍の葉を発酵、乾燥させた「すくも」をお湯で溶かしながら消石灰と酒を混ぜて藍建てを始めていた。「すくも」は大きなタライにもっちりと膨らんで生き物みたいだ。棒でかき混ぜる作業が力仕事で藍染め歴10年以上のベテラン、利用者のTさんの二の腕が筋肉質なのがわかる。一日寝かせると染めができるというので、日をあらためて訪ねると、ぷくぷくと藍の花が咲き、光を受けて玉虫色に輝いている。「適量を染めては休ませて10数回は染められますが、少しずつ染める力が衰えてきます」と指導員の船木さん。20着ほどのTシャツを染める作業が始まっていた。浸しては絞り、ハンガーにかけて空気に触れさせ色を定着させていくことを3回は続け、水洗いをする。大量の水を使用するけれど、思った以上にすっきりと水の色がクリアになる。Tさんと船木さんの無言のリレーが見事だった。

 うれしいことに1グラムあたり10円で藍染めをお願いできると知った。シミがついたり色褪せた衣類の染め直しのリメイクにもってこい!わたしもあの失敗作を持ち込もうと楽しみにしている。

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