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体験移住、ホテル代わり 効果に疑問符 北広島市など事業撤退

 道と道内市町村が取り組む移住体験事業「ちょっと暮らし」が、曲がり角を迎えている。移住を考える人に家具や家電を備えた体験住宅で暮らしてもらい、実際の移住につなげる狙いだが、観光目的でホテル代わりに利用する人も多く、費用対効果を疑問視する自治体が事業から撤退しているためだ。一方で、地域ぐるみで受け入れ環境を整えて着実に移住者を獲得するマチもある。来春の統一地方選では人口減対策が大きな争点となるとみられ、市町村の創意工夫と熱意が問われている。

■安価に滞在

 北広島市は10月末で、2014年から続けてきた移住体験事業を打ち切った。移住を検討する人を利用の条件としてきたが、「明らかに札幌観光のために来ている人もいた」と、橋本征紀企画課長は振り返る。

 市所有の中古住宅2棟を1週間~1カ月間、貸し出し。利用料は1カ月で6万6千円(夏季)。JR北広島駅から徒歩8分の好立地で比較的安価なため、4年間で67組170人が利用した。しかし、市が把握する実際の移住者は1組4人のみ。住宅老朽化で管理に年間数十万円かかるため、冬を前に事業終了を決めた。

 「ちょっと暮らし」は道と市町村が連携し、首都圏の団塊世代の大量退職を見据えて06年度から始めた。参加市町村や利用者数はこれまで右肩上がりで推移してきたが、16、17年度はほぼ横ばい。移住希望者は「頭打ち」となっているのが実態だ。

 市町村の担当者を悩ませているのが、実際は移住する気がない観光目的の「リピーター」の存在だ。ホテルや短期賃貸マンションより安価で滞在できるため、各地の移住体験を渡り歩く。市町村の多くが事前に移住体験の希望理由などを書き込む申請書の提出を求めているが、「そういう人ほど移住したい気持ちが伝わるような作文がうまい」(自治体関係者)という。

 富良野市も09年度から「お試し暮らし住宅」を提供してきたが、夏の観光シーズンにホテル代わりに泊まる利用者が増え、昨年度末で住宅を廃止した。

 富良野市や札幌に近い北広島市は、観光目的の利用が集まりやすい地理的な事情もある。また、道内の多くの市町村が移住体験事業に取り組む中、自然環境や移住・定住支援などで他のマチと差別化を図れず、「体験」止まりとなるケースもある。事業の効果を疑問視する市町村が今後相次いで撤退する可能性もある。

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