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元朝日記者の賠償請求棄却 慰安婦記事巡り、札幌地裁

 朝日新聞元記者の植村隆氏(60)が、従軍慰安婦について書いた記事を「捏造(ねつぞう)」などと書かれ名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの桜井よしこ氏(73)と出版社3社に損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、札幌地裁であった。岡山忠広裁判長は「桜井氏は植村氏の社会的評価を低下させた」とした上で、桜井氏自身の取材経緯などから「桜井氏が捏造記事だと信じた相当の理由があった」として原告の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。

 判決によると、桜井氏は週刊新潮(新潮社)、WiLL(ワック社)、週刊ダイヤモンド(ダイヤモンド社)の3誌で、植村氏が朝日新聞記者時代の1991年に韓国の元慰安婦の証言を取り上げた記事について「勤労奉仕の女性を指す女子挺身(ていしん)隊と慰安婦を結び付けた。意図的な虚偽報道」などと批判した。

 今年3月の本人尋問では植村氏が「韓国では91年当時、女子挺身隊は慰安婦を指す言葉だった」と主張。桜井氏の記事に事実関係の誤りが複数あることを指摘し、桜井氏も認めていた。

 岡山裁判長は判決理由で、桜井氏が参考にした論文や、植村氏の義母が慰安婦問題を巡り日本政府に訴訟を起こした団体の幹部だったことから「桜井氏が植村氏の記事の公正さに疑問を持ち、植村氏が事実と異なる記事を書いたと信じたとしても相当な理由がある」と指摘。「慰安婦問題は国際的な問題となっており、桜井氏の執筆目的には公益性がある」と結論付けた。

 植村氏は桜井氏の記事の影響で、家族を殺害するとの脅迫状が届き、深刻な人権侵害を受けたと主張していた。判決後に会見した植村氏は「桜井氏が誤りを認めたにもかかわらず、不当な判決だ」と批判。弁護団の伊藤誠一共同代表は「判決は桜井氏がジャーナリストであることを無視し、ずさんな取材とそれによる誤解によって人を傷つけることを免責した」と述べた。

 桜井氏と出版社側は「当然の判断」などとするコメントを出した。(野口洸)

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