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米臨界前核実験 廃絶の道に背く身勝手 

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 米国が昨年12月、核爆発を伴わない臨界前核実験をしていたことが分かった。

 実験は5年ぶりで、トランプ政権になってからは初めてだ。

 米政権は「使える兵器」として核兵器の役割を広げる方針を示しており、それに沿ったものとみられる。今年12月にも同様の実験を計画しているという。

 どのような形であれ、非人道的な核兵器の開発につながる実験を許すことはできない。

 加えて、米国は北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に完全な非核化を要求している。

 北朝鮮に非核化を迫る一方で、自分たちは着々と核開発を進める。これでは、都合の良い二重基準ではないか。北朝鮮に限らず、米国と対立する国々が、やはり核保有が必要だと考える恐れもある。

 米国は実験をやめ、政策の方向性を核廃絶へと定めるべきだ。

 臨界前核実験は核分裂の連鎖反応が続く「臨界」にならないようにして、必要なデータを得る。

 米国は核実験に当たらないと主張するが、米国の核開発能力を対外的に誇示する効果は十分だ。

 米政府は今年2月、「核体制の見直し(NPR)」を発表し、ピンポイント攻撃を想定した小型核の開発などを盛り込んだ。核兵器使用のハードルを大幅に下げると懸念されている。

 米国をはじめ核保有国は核拡散防止条約(NPT)が義務づける核軍縮への努力を怠ってきた。

 オバマ前大統領は「核なき世界」を訴え、ノーベル平和賞を受賞したにもかかわらず、臨界前核実験を重ね、国際的な批判を浴びた。

 ましてトランプ氏は米国の核は「彼(金正恩氏)のものよりずっと大きく、より強力だ」などと挑発を繰り返してきた。オバマ氏と比べ、核兵器を巡る言動はあまりに粗雑だ。

 今回の実験は核兵器を廃絶すべきだとの被爆者の願いを大きく裏切る。広島市の松井一実市長らは「断じて許すことはできない」とする抗議文をトランプ氏とハガティ駐日大使宛てに送った。

 唯一の戦争被爆国として、政府も米国に抗議すべきである。核の傘に守られているから、何も言えないというわけではあるまい。

 昨年、国連で採択された核兵器禁止条約は核兵器を非合法化し、核爆発を伴わない実験も禁じる。

 核保有国は署名すらしていないが、発効すれば核保有への大きな圧力となる。日本も署名、批准に踏み出す時である。

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