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地域おこし協力隊、定住の鍵は友人づくり

 「ナニャドヤラヨー」。8月中旬、岩手県洋野町で開かれた第29回ナニャドヤラ大会で、毎年好成績を収める「田子町ナニャドヤラ保存会」が独特の掛け声とともに自慢の踊りを披露した。踊りの輪の中に、元青森県田子町地域おこし協力隊で任期終了後も同町に「定住」を続ける川名美夏さん(49)=兵庫県生まれ、東京から移住=の姿があった。

 地域おこし協力隊とは、都市圏の人材が地方に移住して地域活性化活動に取り組みながら、その地域への定住を目指す、国の地方創生策の一つ。青森県でも隊員を受け入れ始めて7年を迎えたが、彼らが地域にもたらしたものや、定住への道はどうなっているのか。

 川名さんは14年11月に着任。すぐ「友人づくり」に取り組んだ。地元の主婦らが通う編み物講座などに足しげく通い「イチゴを育てたい」などの夢を語りながら、交流を深めた。

 そこで保存会の存在を知り、17年4月から正式会員に。会員制交流サイト(SNS)などで同会の活動を発信すると「私も踊りたい」と問い合わせが相次ぎ、大幅な会員増につながった。同会の中沢和枝さん(75)は「岩手県や南部町から新会員を呼んでくれた」と目を細めた。

 友人の輪は、17年10月に迎えた協力隊任期満了後の生業にも生きた。田子町田子で経営するカフェ「Takko Cafe」で提供する菓子の材料には、友人が提供した苗から自家栽培したイチゴを使用。ブルーベリー、モモなども友人からの提供だ。誕生日や卒業式といった、町民の記念日や町の行事などで使用する菓子も受注する。「田子町にはケーキ店がなかったから、いくらやっても迷惑にならない。やれることは貪欲に」と、次の新事業には「グリーンツーリズム」を考えている。

 19年春に任期満了予定の弘前市地域おこし協力隊員吉田涼香さん(26)=千葉県出身=は、定住を視野に模索中だ。吉田さんは大学時代の実習などで青森県に通った後、いったん地元で就職したが「津軽で働きたい」と16年4月に転職、着任した。弘前市の移住促進事業の相談や情報発信、イベント開催などを担いながら、郷土料理の伝承に取り組む女性グループ「津軽あかつきの会」の一員として活動。同会の会員らは「もうここの人だよ。任期後もできればいてほしい」と口をそろえる。

 協力隊員の収入がなくなる任期後の生活に思い悩み、一時は辞めることも考えたが、新たな仕事や人との出会いなどに活路を見いだし、活動の満足度は「年々上がった」と話す。

 任期後は、友人と取り組む予定のグリーンツーリズムや津軽あかつきの会の活動など、複数の生業で生計を立てる予定という。「まずは普通に暮らせるようになりたい。地域貢献はその先」と、任期後の道を冷静に見つめた。

 協力隊員を受け入れた自治体も模索を続ける。吉田さんを担当する弘前市企画部企画課の肥後義和主事は「任期後についての話し合いは4月から数回してきたが、人生に影響する重大な話。補助金の活用や、金融機関からの借り入れをアドバイスするなど、できるだけのことをしたい」と話し、弘前市へ残ってほしいという思いをにじませた。

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