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ノーベル平和賞

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性暴力を受けた人が被害を告発するには、大きな勇気がいる。報復を恐れ、社会の目を避け、泣き寝入りする人は少なくない。それは日常生活であれ、紛争下であれ、変わりない▼ノーベル平和賞に選ばれたイラクのナディア・ムラドさんは、クルド民族少数派ヤジド教徒として「イスラム国」に拉致され性暴力を受け続けた。逃げ出した後は卑劣な暴力を国際社会に告発し、被害者の尊厳を訴えた▼もう1人の受賞者、コンゴの婦人科医デニ・ムクウェゲさんは内戦状態の同国で、武装勢力の戦闘員らによる性暴力被害者約5万人の治療や支援に携わった。加害者を告発するとさまざまな政治的圧力を受け、暗殺されかけたこともあった▼紛争下での性暴力は身体的損害だけでなく、恐怖を植え付けて支配する「武器」になる。ノーベル賞委員会は2人がこうした性暴力の撲滅に貢献したとし、性被害を告発する世界的な「#Me Too」(「私も」の意)運動とも共通すると指摘する▼日本ではどうだろう。昨年度の内閣府の調査では、性暴力被害者の56%が「どこにも相談できなかった」と答えた。泣き寝入りを強いる社会になっていないか。被害者の支援態勢は十分か▼官僚のセクハラ行為を、「セクハラ罪という罪はない」と擁護した政権幹部もいた。私たちの周りにも、痛みを抱える人がいる。紛争地の遠い国の問題とは言い切れない。2018・10・10

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