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搾乳して廃棄…農協、設備投資要請も 乳業メーカー自家発電二の足

 胆振東部地震による大規模停電では、多くの乳業工場が操業停止となり、全道で約2万トン(約20億円相当)の生乳が廃棄された。搾乳を続けたものの出荷できず損害を受けた酪農家や道、農業団体は、乳業メーカーに対し、自家発電機の導入を強く求める。ただ、整備には多額の初期投資や維持費がかかることもあり、メーカー側の動きは鈍い。

 「酪農家が危機管理で発電機を用意しても、乳業工場が稼働しないのでは話にならない」。根室管内別海町で搾乳牛約500頭を飼育する中山勝志さん(64)は憤る。自前の発電機で搾乳できたが、生乳31トンの廃棄を余儀なくされた。吹雪などによる大規模停電も警戒し、乳業メーカーに今回の検証と対策を求める。

 道内39の乳業工場のうち、地震が発生した9月6日も稼働できたのは自家発電設備があるよつ葉乳業(札幌)の2工場だけ。道内に複数の工場を持つ大手メーカーは一部に発電機があったものの、製造設備を動かすほどの能力はなく、生乳や商品の冷蔵保管用の電力に充てるにとどまった。

 ホクレンの9月の生乳受託量は前年同月比5・2%減。生乳出荷が減った本州でも牛乳が品薄となった。

 7トン廃棄し、約70万円の損害が出た釧路管内鶴居村の斉藤和弘さん(42)は「乳業メーカーは消費者に乳製品を届ける責任を自覚して」。十勝管内芽室町の荻昭彦さん(66)は13トン廃棄し、100万円以上の損失に。東日本大震災を機に大型発電機を約800万円かけて整備、年20万~30万円の維持費も投じており「酪農家が手を打っているのに、なぜ大手メーカーは何もしないのか」と憤慨する。

 酪農家からの切実な声を受け、JA北海道中央会や道内の農協は9月28日、道内に工場を持つ乳業メーカーなどでつくる北海道乳業協会に、工場への自家発電設備の整備と「万全な生乳受け入れ態勢」の構築を要請した。こうした要請を行うのは初めてだった。

 だが、今のところメーカー側に自家発電設備の導入に踏み切る動きは乏しい。「大きな工場だと十数億円」(乳業関係者)という多額の初期投資に加え、維持費用もかさむためだ。明治は道内7工場のうち2工場に発電機があるものの、製造能力はない。同社は「今後についてはまだ手つかず。かなり大きな資金がかかるので大きな決断になる」(広報部)と話す。

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