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「朝鮮学校」敗訴 生徒の救済を探りたい

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 高校無償化を巡り、国が朝鮮学校を対象外としたことの是非を問う裁判で、大阪高裁が、原告の大阪朝鮮高級学校の請求を認めた一審判決を取り消し、逆転敗訴とする判決を言い渡した。

 同様の訴訟5件のうち、一審で朝鮮学校側が勝訴したのは大阪のみだが、初の高裁判断でこれも退けられた。判決は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響を重く見る国の主張を追認した。

 しかし、無償化によって教育の機会均等を図る制度の趣旨を踏まえれば、今回の判断には疑問が拭えない。

 裁判の争点は、無償化の基準となる「適正な運営」の要件だ。

 高裁は、幹部の人事交流など総連との密接な関係を踏まえ、教育基本法の禁じる「不当な支配」を受けている疑いがあるとした。

 一審は、こうした総連との関係の存在を認めた上で、「在日組織が民族学校を援助するのは不自然とは言えない」としていた。

 むしろ一審が問題視したのは、無償化の適用の可否を国が恣意的に判断することである。「教育への過度の行政介入を容認することになりかねない」からだ。

 文部科学省は、朝鮮学校が無償化適用の審査を受ける根拠となる条文を省令から削除したが、乱暴と言わざるを得ない。

 削除を違法と認定し、適正な運営の判断は財務状況など客観的な材料で行うべきだ、とした一審の内容はうなずける。

 そもそも高校無償化は民主党政権下の2010年に始まったが、朝鮮学校への適用については、当初から賛否が分かれた。

 12年末に政権が交代し、朝鮮学校を適用対象から外す方針が示され、当時の下村博文文科相は拉致問題の停滞を理由に挙げた。

 北朝鮮の拉致行為は重大な犯罪だが、その解決は政治の責任であり、教育に絡めるのは筋違いだ。

 高校無償化から8年、各地の朝鮮学校では負担の重さから生徒の流出が加速し、統廃合が進む。

 朝鮮学校の扱いを巡る政府の強硬姿勢が、在日韓国・朝鮮人などを「排除」する風潮を助長してきたことは否めまい。

 朝鮮学校では韓国籍や日本国籍の生徒も学び、卒業生はともに日本社会を担う一員となっている。

 子どもに民族教育を受ける権利を保障するのは国際的な流れだ。これを守るため、朝鮮学校も一層運営見直しを進めるべきだ。

 生徒の救済を第一に、国と朝鮮学校の双方に努力を求めたい。

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