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<第9部 輪西町かいわい>3 にぎわいの中心に 商店街を再現 奮闘続く

 買い物かごを手に、親子連れが夕食の材料を手に取る。顔なじみの商店主と、お年寄りが井戸端会議に花を咲かせる。

 室蘭市輪西地区の中心地にある「ぷらっと・てついち」(輪西町2)は、スーパーと商店街が一つ屋根の下に同居する、ちょっと不思議な商業施設だ。2001年の開業から17年がたち、運営する輪西中核施設協同組合の代表理事、松永英樹さん(57)は「まちの活気を残すことに貢献できたかな」と振り返る。

■危機感をバネに

 ぷらっとは平屋建て、店舗面積約3千平方メートル。スーパーを中心に、鮮魚店や飲食店、衣料品店などが入る。輪西商店街振興組合の商業者らが法人組織「輪西開発」を設立し、融資を受けて建設した。総事業費約4億5千万円。このうち国と道が約1億円、残りを入居店舗が負担した。

 当時、輪西地区の人口が急減し、既存の商店街がさびれていった。中核施設を建設して商店街の店が入居し、にぎわいを取り戻そうという画期的な発想だった。輪西開発の一員だった松永さんは「このままでは輪西というまちがなくなってしまう、という強い危機感があった」と振り返る。

 同施設の中心だったスーパーが2012年に撤退する試練もあったが、その年のうちに新たなスーパーを誘致し、乗り越えた。

■跡取り世代活躍

 輪西地区の人口減は歯止めがかからず、ぷらっとの利用者数や売り上げも、順風満帆とは言いがたい。開業当初から入居する店の模索は続く。

 1951年に商店街で創業した「清香園茶舗」を経営する葛西広一さん(70)は、輪西開発の一員だった。ぷらっとの建設に向けて勉強会を重ねた当時を「みんな無我夢中で、燃えていた」と振り返る。開業日には室蘭市の水道水に合う茶葉を、鹿児島県の知覧から取り寄せて発売し、好評を博した。

 頼もしい跡取りもいる。市外の飲食店で働いていた長男の拓郎さん(39)が08年から店を手伝う。広一さんも持つ日本茶インストラクターの資格を取得した。広一さんは「味に対して感覚が鋭い」と信頼を置き、仕入れを任せている。拓郎さんは「若い層にお茶のおいしさを知ってほしい」と、手軽な水出し茶のボトルを新たに取りそろえた。

 拓郎さんと同学年の平雄介さん(38)は、一足早く家業を継いだ。「靴のタイラ」で、先代の父武彦さんの姿勢を守り続ける。「お客さまの、靴に関するどんな悩みにもしっかり向き合っていた」と、15年に亡くなった武彦さんを思い起こす。

 足の裏にかかる圧力を測定し、最適な中敷きを選ぶ最新の機器を導入した。自分の足に合った靴を履いて、笑顔で暮らしてほしいという思いを抱く。

 父はぷらっと設立に向けて仲間の先頭に立ち、輪西商店街振興組合の理事長や室蘭観光協会の会長も務めた顔役だった。重圧もあるが「名前の通り、ぷらっと立ち寄れる商店街のような施設でありたい。一足一足、丁寧に販売したい」と、戦後間もなく開業した老舗を守り続けている。

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