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さりながら

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台風に見舞われ、地震に襲われ、毎日を何とかやり過ごすうち、9月も半ばになってしまった。気がつけば空は高くなり、北海道はすっかり秋である▼二十四節気では22日までが白露に当たる。露は秋の風物の代表で、風のない晴れ上がった夜の明け方によく降りる。冷え込みにより、空気中の水蒸気が露となる温度まで下がりやすくなるためだ▼白も秋を表現する色。青春、朱夏、白秋、玄冬と、季節には色が割り当てられている。気象キャスターの故倉嶋厚さんは、秋を白く感じるのは、高く明るい空となり、「空気が白く乾燥していく」ような感覚のためだと語る▼露は日が昇って、気温が上がるとあっけなく消えてしまう。そのはかなさは、人の世の無常にもたとえられる。「露の世は露の世ながらさりながら」。生まれたばかりの長女を亡くした際に、小林一茶が詠んだ▼この世が露のようにはかないことを知ってはいるけれど、それにしても、幼いわが子を失うというのはなんとはかないことだろう。そんな意味である▼きょうがあすに続き、あすはあさってにつながる。当たり前と思っていたことが、実は当たり前でも何でもなかったことを、改めて思い知らされた胆振東部地震だった。人の命は露のごとし。あまりに早すぎる、あまりに突然すぎる。犠牲者41人の遺族や知人の「さりながら」の嘆きが、聞こえてくるような秋である。2018・9・15

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