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文明と災害

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猛吹雪で、富良野市全体が停電した。どの家庭も暖房が切れ、水道は止まり、農家は畜舎の牛や豚に被害が出てはならぬとてんてこ舞い―▼ドラマ「北の国から」の一シーンである。主人公・黒板五郎の長男と義理の妹の乗った車も、雪の中で立ち往生する。頼みの除雪車が引き返すほどの荒天の中、五郎たちは時代遅れと見下されていた馬そりに乗って駆けつけ、2人を助け出した▼多くの家が翻弄(ほんろう)された一方、電気もなく、まきとランプで暮らす黒板家は被害がなかった。30年以上前のドラマだが、停電の影響は甚大だった▼さらに電力依存が進む中、胆振東部地震では思いもよらぬ停電の影響が相次いだ。最新型トイレは水が流れない。オートロックのマンションから閉め出され、電子マネーも使えない▼「文明の利器が登場する以前、我々(われわれ)は別に暮(くら)しの上で不便を感じることはなかった。だが一度それらが世に出廻(まわ)り、それを使うことがあたりまえになると、それのない生活は考えられなくなった」。倉本聰さんは自著「ヒトに問う」で指摘する▼五郎と同じ生活をするのは難しい。だが、停電時のリスクをよそに便利を追求することが妥当か、立ち止まって考える必要はないか。「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する」とは、寺田寅彦の言葉。ブラックアウトが長引いていたら、今の季節が冬だったら、どうなっていただろう。2018・9・14

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