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緑から赤へ

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残暑が続く東京で、一服の涼を求め、広尾にある山種美術館を訪ねた。日本画の展覧会「水を描く」が開かれており、横山大観や川合玉堂といった大家たちの水にちなむ作品が並ぶ▼会場入り口で目についたのは、東山魁夷の「緑潤う」。池の周囲に常緑樹とコケが生える盛夏の京都・修学院離宮を描いた。他にも雨、清流、滝、渦潮。多彩な水の表情が暑さに疲れた体を癒やしてくれる▼同じ雨でも微細な線で描いた作品があれば、小雨が煙る野山の湿り気を墨のぼかしで表した絵もある。変幻自在に姿と形を変える水は、技巧を競う画家たちにとり魅力的な表現対象なのだろう▼気の早い話だが、年末恒例の今年の漢字は「水」ではないか。そんなことをふと思った。一夜にして多数の命を奪った西日本の豪雨、その後にやって来た酷暑の日々。テレビのニュースは連日、十分な水分補給をと呼びかけた▼水は人間に対して時に無情に牙をむくが、やはり生命の源には違いない。山口県周防大島町で3日間不明になった2歳の男児は何も食べず、沢の水が命をつないだとの見方もある▼展覧会では、青森県・奥入瀬渓谷の紅葉を描いた奥田元宋の大作も印象に残る。季節の色は緑から赤へと移りゆく。大雪山系では既にナナカマドの色づきが始まっているという。見ごろも遠くないだろうが、その前に台風21号が北上している。十分に用心したい。2018・9・5

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