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調停制度 「家事」と「民事」の2種類 双方の言い分を聞き判断

 お金の貸し借りや離婚問題、遺産分割といった身の回りのトラブルを裁判ではなく、話し合いで解決する裁判所の調停制度。費用が安く済み、非公開なのでプライバシーが守られるなど便利な仕組みです。基本的な内容を紹介します。

 ――そもそも調停と裁判はどこが違うのでしょう。

 「裁判は裁判官が双方の言い分を聞いて証拠を調べ、法律に基づいて判決で決着をつけます。調停は、裁判官のほか一般の人などから選ばれた調停委員2人が当事者とテーブルを囲んで話し合い、双方の妥協点を見いだすなどして、トラブルの解決に当たります」

 ――調停にはどんな種類があるのですか。

 「大きく分けて2種類あり、離婚など家族間のトラブルを扱う調停は『家事調停』と呼ばれ、家庭裁判所で行われます。もう一つは、お金の貸し借りのトラブルなど家族以外の争いを扱う『民事調停』で、簡易裁判所で行われます。主な内容は表にまとめました。最高裁の統計では、昨年1年間に道内の家裁が受けた家事調停は6017件、簡裁が受けた民事調停は1327件に達しています」

 ――調停を起こす方法を教えてください。

 「定型の調停申立書を裁判所に提出します。書類への記入は裁判所ではなく、家でもできます。本人が面倒に感じても、家族に協力してもらいながら落ち着いて書けるので、高齢の方も利用しやすくなっています。費用も安い。申立手数料は、例えば10万円の損害賠償を求める場合、500円で済みます。裁判だと弁護士を立てるのが通例で、その費用もかかりますが、調停では不要です」

 ――裁判官とともに調停に当たる調停委員はどんな人がなるのですか。

 「一般の人のほか、医師、弁護士、不動産鑑定士、税理士ら専門的な知識のある人たちです。調停が行われる裁判所の地元の人が最高裁から選ばれています。地元の事情を分かった人が調停に当たるわけです。4月現在、道内は家事調停委員が約800人、民事調停委員が約650人います」

 ――調停はどのように進められるのですか。

 「申立人と相手方が呼ばれます。本人が原則ですが、民事調停の場合、やむを得ない事情があれば、家族や、法人なら代表者ではなく従業員が代理することも可能ですし、家族らに付き添ってもらうこともできます。申立人と相手方が一緒の席につくことはなく、別々に呼ばれて話し合います。裁判所で第三者が間に入ることで冷静になれます。非公開なのでプライバシーが守られるのもメリットです。平均で2、3回の話し合いで解決し、それに要する期間は3カ月以内のケースが大半です」

 ――調停はどんな人に役立つのでしょうか。

 「民事の調停委員でつくる札幌民事調停協会長の高橋智(さとる)弁護士は、『裁判所は人権の最後の砦(とりで)』と言われることを指摘しています。一般にトラブルがあった時、当事者同士の話し合いでは力の強い人、声の大きい人、お金がある人が有利になりがちです。しかし、調停は裁判官と調停委員が双方の言い分をていねいに聞いた上で、法律を基準にして公正な判断を基に話し合いを進めます。高橋さんは『調停は社会的に弱い立場のお年寄り、女性などにぜひ利用してほしい』と呼びかけています」

 ――調停の注意点は。

 「調停が不成立になれば、後は訴訟しか方法がないのですが、時間がかかります。なるべく早く、調停で解決したいのなら、柔軟な姿勢が求められます。調停は話し合いなので、高橋弁護士は『大切なのは人間関係。いたずらに細部にこだわらず、多少は譲歩する気持ちも必要です』と指摘しています」(編集委員 福田淳一)

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