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豪雨とダム放流 詳細な検証が欠かせぬ

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 西日本豪雨で愛媛県・肱川(ひじかわ)上流のダムが大量の水を放流し大規模な浸水被害が出た問題で、検証作業が進められている。

 野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)が放流を実施した後、下流の西予、大洲両市で氾濫が起き、9人が犠牲になった。

 住民から「人災だ」との声が上がるのは無理もない。

 ダム管理者の国土交通省は氾濫を予想していたが危険を十分に伝えられず、両市が避難指示を出したのは放流の可能性が伝えられた2時間以上後だった。

 両者の連携に不備があったと言わざるを得ない。徹底的な検証で課題を洗い出すべきだ。

 異常気象で記録的な豪雨が各地で頻発している。いつどこでも起き得るとの想定で、備えを確かなものにしなければならない。

 ダムは、大雨が予想されると、事前放流を行い、空き容量を増やしておくが、今回は、予想を超える雨量でダムが満杯になった。

 流入分と同量を流す「異常洪水時防災操作」が行われ、安全基準の6倍もの水が流されたという。

 国交省は「操作はマニュアル通りで適切だった」と言うが、被災者はとても受け入れられまい。

 多くの犠牲者が出た事実を踏まえれば、欠点や見落としの可能性も念頭に、一連の過程を謙虚に確認する姿勢が求められる。

 国交省は、鹿野川ダムが放流した場合のシミュレーションを実施して浸水戸数も予測していたが、「試験的で精度が低い」と自治体に伝えていなかった。

 このデータを普段から地元自治体と共有し、話し合っていれば、もっと早く避難を指示する材料になったのではないか。

 大洲市が避難指示を出したのは、放流の始まる5分前だ。

 肱川の水位を避難指示の判断基準にしていたが、ダムの放流量は基準に含まれておらず、指示の遅れにつながった。

 新たな要素を盛り込み、基準を不断に改善する必要がある。

 住民に危険を伝える方法も大きな課題だ。警報のサイレンや防災行政無線は豪雨にかき消され、住民に届きにくかった。

 九州北部豪雨の被災地、福岡県朝倉市の試みが参考になる。

 河川氾濫と土砂災害の危険度を建物ごとにリアルタイムで予測できるシステムを導入し、電話による避難誘導も可能という。

 台風シーズンの本番だ。道内でも、ダムの運用や避難方法などの再点検を急ぎたい。

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