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米紙が一斉社説 権力監視の意義訴えた

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 米国メディアの危機感が伝わってくる。

 全米の大小350を超える新聞が一斉に「記者は敵ではない」という趣旨の社説を掲載した。

 トランプ大統領が自身を批判するメディアを「国民の敵」と決めつけ、執拗(しつよう)に「フェイク(偽)ニュースだ」と攻撃を続けていることへの反論である。

 新聞によって内容に違いがあるが、いずれも言論の自由の必要性を強く訴え、国民の支持を呼びかけている。

 言論の自由が民主主義社会に不可欠であることは言うまでもない。メディアは国民に事実を伝え、権力を監視する。そうでなければ権力の暴走を許してしまう。

 トランプ氏は自身の正当化に腐心するのではなく、批判を真摯(しんし)に受け止め、政権運営に当たらねばならない。

 社説の掲載は東部ボストンの有力紙ボストン・グローブが呼びかけた。

 同紙は「われわれの自由は報道の自由に支えられている」と米独立宣言起草者の1人、ジェファーソンの言葉を紹介している。

 建国以来、米国で報道の自由がいかに大切なものと位置付けられてきたかがよく分かる。

 驚くのは、その社説で紹介されている最近の世論調査の数字である。共和党員の48%がトランプ氏の「メディアは国民の敵」との見方を支持しているというのだ。

 「うそも百回言えば真実になる」との例えもある。危うい兆候と言わざるを得ない。

 トランプ氏は今回の一斉社説に対しても「フェイクニュースのメディアは野党だ。われわれの偉大な国にとってとても良くない」などとツイッターで反論した。

 民主主義国のトップと思えぬ偏狭な発言だ。メディアや野党という批判勢力の存在しない独裁体制でも目指すつもりなのだろうか。

 米国でメディアを取り巻く状況は厳しさを増す。

 米東部では6月、地方紙の事務所に散弾銃を持った男が押し入り、編集者ら5人が死亡し、2人が負傷する事件が起きた。報道内容への不満が原因という。

 経営難で地方紙の廃刊が相次ぎ、行政を監視する目が届いていないとの指摘が聞かれる。

 日本でも麻生太郎財務相が「新聞読まない人は全部自民党(支持)だ」と述べるなど、政権からはメディアの役割に無理解な発言が相次ぐ。批判的な報道にも謙虚に耳を傾けるべきだ。

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