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障害者の雇用 国が偽装とはあきれる

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 障害者雇用の旗振り役である国が自ら不正を働いていたとは、あきれるほかない。

 農林水産省や国土交通省などの省庁が、長年にわたって障害者雇用促進法が定めた障害者の雇用割合(法定雇用率)を水増ししていた可能性があることを認めた。

 障害者手帳を持たない軽度の職員は本来対象外だが、法定雇用率の算定に含めていたようだ。

 雇用率が未達成の企業は、罰則に近い形で納付金や企業名の公表を求められる場合がある。

 なのに、模範となるべき国が偽装していたとすれば言語道断だ。

 政府は、不正の実態を徹底的に究明しなければならない。同時に全省庁による雇用率の厳守など信頼回復に全力を挙げるべきだ。

 障害者雇用促進法は1976年から、企業や国・自治体に一定割合以上の障害者を雇うよう義務付けている。

 国や自治体の雇用率は、民間に雇用を促す立場から、企業より0・3ポイント高い2・5%(3月までは2・3%)に設定されている。

 昨年は、国の33機関で約6900人の障害者を雇用し、平均雇用率は2・49%だった。

 ところが、雇用が義務化された当初から水増しが行われていた疑いがあり、実際の雇用率は1%未満の省庁が多いという。

 ずさんな運用で水増しがほぼ常態化していた要因の一つは、チェックする仕組みの欠如だ。

 中央省庁は厚生労働省に雇用状況を報告するにすぎない。

 雇用率を巡っては、2014年に厚労省所管の独立行政法人が水増しした問題が発覚した。念のため、厚労省が省庁にも調査対象を広げておけば、もっと早く実態を把握できたはずだ。

 このような事態を招いた以上、省庁からの報告内容を厳格に検証する必要がある。

 国会開会中に閣僚の答弁書を作るために長時間拘束されたり、突発的な事態に対処したりという事情が、省庁で障害者を雇用しにくくしているとの指摘もある。

 だが、企業もさまざまな事情を抱えながら、雇用を創出する努力を積み重ねている。省庁の怠慢と言わざるを得ない。

 政府は、障害に関係なく誰もが社会参加できる「共生社会」の実現を掲げる。水増しはこの方針に逆行するだけでなく、国が障害者の就業機会を奪うに等しい。

 障害者の雇用を広げようという社会の機運を後退させぬためにも、厳正な対応が求められる。

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