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有害図書指定 議事録は検証の命綱だ

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 道青少年健全育成審議会が「有害図書」を指定する会議の議事録の多くを作成していなかった。

 道文書管理規程に反し、歴代の担当職員が「必要なし」と判断してきた可能性があるという。

 担当者の認識不足に加え、チェック機能も働いていなかったとはお粗末と言わざるを得ない。

 まして、18歳未満への販売などを禁じる有害指定は、実質的な表現規制につながる恐れがある。

 恣意(しい)的な運用にならないよう、議論を記録し後の検証手段とすることは、行政の当然の責務だ。

 公文書は道民の財産である。道は早急に、再発防止策を講じなければならない。

 有害図書の指定は、道青少年健全育成条例に基づき、知事が審議会に諮問して行われる。

 審議会では教育や報道関係者の社会環境整備部会が、提示された図書の指定の可否を検討する。

 指定されれば一般図書と区分した陳列が義務づけられ、書店に並ばなくなることもあり、出版や表現の萎縮を招くとされる。

 世に氾濫する過剰な刺激から青少年を守りたいと考える心情は理解できるが、全国で同様の条例が整備され、警察と協調して規制の対象を広げてきた、これまでの流れは妥当と言えるだろうか。

 しかも、道の条例の指定要件は「著しく粗暴性を助長し、性的感情を刺激し、または道義心を傷つける」と極めて抽象的だ。

 現に、今年3月に有害指定可と答申された4冊には、漫画の性表現の変遷をたどる評論が含まれ、学識経験者などから「行き過ぎではないか」との批判がある。

 会議は非公開で行われる。議事録の作成と公開なしでは、決定に疑問があっても検証できない。

 規程は、道の付属機関の意思決定に際して文書作成を義務づけており、部会もこれに該当する。

 ずさんな実態が他にもないか、他の審議会などはもちろん、全庁を調査する必要がある。

 道の公文書管理については、道議会建て替え議論の検証を巡り、市民団体が規程よりも強制力のある条例化を求めている。

 行政の判断は、常に妥当性が問われるものだ。よりよい公文書管理の実現へ、議論を深めたい。

 今や、スマートフォンなどの普及で、意図せずとも過激な情報に接してしまう時代だ。

 青少年の健全育成には、性教育などの充実に力を注ぐべきで、民主主義を支える「表現の自由」の制限は避けねばならない。

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