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サマータイム 五輪優先の拙速避けよ

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 五輪成功のために国民生活を混乱させるなら納得できない。

 安倍晋三首相は夏期に国全体の時間を早めるサマータイム(夏時間)導入の可否を検討するよう自民党に指示した。東京五輪・パラリンピック組織委員会が暑さ対策として要望したのを受けた形だ。

 マラソンなどの競技時間を実質的に早め、猛暑を避けられれば選手や観客の負担は減る。日没までの余暇時間が増え、消費が喚起されるとの見方もある。

 だが健康への悪影響やシステム改修に伴う混乱が起きる恐れもあり、政権内にさえ慎重論がある。

 五輪まで2年しかない。無理があると言わざるを得ない。

 夏時間は主に高緯度の国で、夏に長くなる日照時間を有効活用する仕組みとして採用されてきた。

 日本でも超党派の議員連盟が導入を目指すなど度々議論されたが、法案提出に至らなかった。

 心配なのは健康への影響だ。時間変更で生活リズムが崩れ、睡眠障害や心筋梗塞の発生率が上がるなどの研究結果が出ている。日本睡眠学会は「健康被害の広がりが大いに懸念される」と警告する。

 健康リスクからロシアは既に廃止し、1時間早めている欧州連合も存廃の検討を始めた。組織委は2時間繰り上げを求めており、より深刻な影響が出かねない。

 システム改修も難題だ。IT化が進み、時刻で管理するシステムが生活の隅々に行き渡っている。大規模な改修が必要で、障害が起きれば社会全体が混乱する。

 しかも来年は改元や軽減税率導入を含む消費税増税に伴う作業もあり、準備時間は限られる。

 一方、消費拡大効果は不透明だ。余暇時間の増加が前提だが、明るい時間に退社できず残業が増えかねないためだ。これでは働き方改革にも逆行する。

 2004~06年に札幌など道内で行った導入実験でも、早帰りの社員を狙った商戦は低調だった。

 利点とされる省エネ効果も、帰宅後の冷房使用が増え、電力消費量は変わらないとの試算もある。

 暑さ対策が目的なら五輪の競技時間を変更すればいい。早朝に前倒すと公共交通機関がないなら臨時バスなどで対応できるはずだ。夕方以降の競技は逆に暑い時間に始まる。これはどうするのか。

 そもそも猛暑の時期に五輪を開催することにも疑問が残る。

 組織委は五輪の「遺産」として定着させたいと提唱するが、夏時間に頼らない対応策を講じるべきだろう。

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