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<新刊と文庫>「オールドレンズの神のもとで」など

<単行本>


◆オールドレンズの神のもとで 堀江敏幸著
 芥川賞作家による短編小説集。犬の散歩を請け負っている私が、飼い主や犬とのこまやかな交流をつづる「果樹園」、剣豪の逸話ばかり語る物静かな小学校教師が生徒の交通事故後にとった印象的な行動を描く「柳生但馬守宗矩」など、18編を収録。わずか2ページの作品「杏村から」にも、精密な描写に彩られた著者らしい文体が刻印されているのは見事。(文芸春秋 1782円)

◆フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記 フジコ・ヘミング著

 ピアニストの著者が少女時代に描いた絵日記に、当時を振り返る感想を添えて刊行。いとことのピアノ練習、ジャガイモで作ったケーキ、楽しみなアメリカ配給のチョコなど、終戦直後の暮らしを水彩画と文章で丁寧に表現している。ピアノ教師だった母から譲り受けたショパンの貴重な楽譜写真付き。(暮しの手帖社 2500円)


◆文房具の解剖図鑑 ヨシムラマリ+トヨオカアキヒコ著

 文房具の歴史や構造、使い方などをイラストで紹介。16世紀半ば、英国で作られた鉛筆は、3本の指で持ちやすい六角形になった。カッターナイフの刃は板チョコから着想したなど、書く、消す、残す、写す、貼る、留める、切る、保存するなど23のジャンルに分類し、定番から新商品までを解説する。(エクスナレッジ 1728円)


◆やっぱ志ん生だな! ビートたけし著
 戦前、戦後に人気を博した落語家5代目古今亭志ん生の芸の魅力をビートたけしが軽妙に語る。志ん生は努力の人というより、突然変異のように現れた化け物で、噺(はなし)のまくらは天下一品と褒めるなど、落語家になりたかった著者の崇拝ぶりがうかがえる。巻末には本書に登場した主な落語を著者のコメント付きで紹介。(フィルムアート社 1512円)

◆原発文学史・論 黒古一夫著
 原爆や原発事故をテーマに書かれた170冊以上の文芸作品を論じた一冊。1970年代から「原爆文学論」を書き続けてきた文芸評論家の集大成と言える。3・11以前の作品に見られる先見性や、一貫して「反核」「反原発」を訴える作家の姿勢を評価する一方、吉本隆明の原発容認論や村上春樹の「反核スピーチ」など、作家の認識の甘さは容赦なく突いている。(社会評論社 2916円)

<文庫・新書>


◆太宰治の手紙 太宰治著・小山清編

 太宰が20、30歳代に書いた手紙100通を集め、まな弟子小山が註(ちゅう)を付した。1954年刊行を文庫化。師である井伏鱒二に媒酌人になってほしいと懇願したり、実家の出入り商人へ借金を依頼したり…。太宰の本音と情けなさ、それでも放っておけない人となりがよく分かる。(河出文庫 821円)


◆「階級格差」時代の資産防衛術 須田慎一郎著
 株や不動産投資に手を出して老後資金を失う高齢者。派遣社員で低所得の若者。一握りの勝ち組を除き、日本人は下流層に転落する可能性を経済ジャーナリストが指摘。危ない金融商品の落とし穴や銀行から身を守る術(すべ)を教える。(イースト新書 930円)

◆風紋 松本清張著
 松本清張プレミアム・ミステリー第5弾。東方食品の社史編纂(へんさん)室に配属された今津は、自社のヒット栄養食品「キャメラミン」には毒性物質があると指摘する大学講師吉村と会う。しかし、宣伝部長の画策で吉村は沈黙する。人間の弱さを描く1978年刊の企業サスペンス。(光文社文庫 626円)

◆謎の殺し屋 鈴木英治著
 時代小説文庫書き下ろしの蔦屋重三郎事件帖第2弾。質素倹約を旨とする老中松平定信の世を風刺する黄表紙を刊行した出版業の蔦屋重三郎は、頭巾姿の浪人に脇腹を斬られる。犯人は薬の匂いがし、咳(せき)込んでいたのを手掛かりに、重三郎は薬問屋を調べ始める。(ハルキ文庫 691円)

◆バッハ 加藤浩子著
 音楽ライターの著者が、バッハの生涯と作品を、当時のドイツの歴史を踏まえて解説。ルター派の教会音楽作曲家のバッハと宗教改革者ルターの共通点、10歳で両親を失った生誕の街アイゼナッハや27年間すごしたライプツィヒの暮らしなど、「音楽の父」の素顔に迫る。(平凡社新書 994円)

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