PR
PR

井戸を掘った人

[PR]

夏休みの旅行客で混雑する東京・羽田空港。その一角で、丸善石油や全日空の社長を務め、貿易を通して日中友好に力を注いだ岡崎嘉平太氏の功績を紹介する催しが開かれている▼学生時代から中国に関心を寄せていた岡崎氏は戦後、日中関係正常化のためには貿易の拡大が必要と考えた。技術者の長期滞在が必要となる大型プラント輸出を手がけ、日中間の覚書に基づく貿易の制度確立に道筋を付けた▼1972年の日中国交正常化に際して、当時の周恩来首相は「水を飲むときには井戸を掘った人を忘れない」という中国の言葉を引用し、「岡崎先生はその一人だ」と称賛した▼展示で印象深いのは、ビデオを通して岡崎氏が語る周氏の言葉だ。「日本は日清戦争以来、国内に深く入って人命、財産に多大な損害を与えた。しかしこの80年の恨みは日中友好の2千年に比べればわずかな時間だ。恨みを忘れて日本と友好を結びたい」▼きょう、78年の日中平和友好条約締結から40年を迎えた。この間、中国は世界2位の経済大国に成長し、世界各地へ影響力を広げている。日中関係はぎくしゃくした場面も目立つ。だが、対立と友好を繰り返してきた両国の長い歴史を考えれば、これも「わずかな時間」なのだろう▼中国からの観光客や留学生、ビジネスマンなどは道内でも大きく増えた。その一人一人が両国の井戸を掘っているのかもしれない。2018・8・12

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る