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翁長知事死去 「オール沖縄」を貫いた

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 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が8日、膵(すい)がんのため死去した。67歳だった。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設阻止を掲げ、保守、革新の枠を超えた「オール沖縄」の立場で、国と対峙(たいじ)してきた。

 移設反対派にとっては「国の不条理に対する反発」や「本土への失望」を結集する象徴的な存在だったと言えよう。

 翁長氏の死去で、県知事選は前倒しされ、9月下旬までに実施される見通しとなった。

 沖縄には戦後73年たった今も、国内の米軍専用施設の約70%が集中し、過重な基地負担に反発する人が少なくない。移設の是非を問う県民投票を求める署名が10万筆を超えたのもその証左だ。

 知事選では改めて基地問題を正面から議論する必要があろう。

 翁長氏はもともと自民党沖縄県連の重鎮で、国と協調してきた。

 対決に転じた大きな契機は2013年末、当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が「普天間の県外移設」の公約を覆し、毎年3千億円規模の沖縄振興予算と引き換えに、辺野古の埋め立てを承認したことだった。

 露骨なアメとムチとも言える「上から目線」の国のやり方が、県民の怒りを買ったのは当然だろう。翁長氏は保革を超えた民意を背に、14年の知事選で仲井真氏に10万票の大差をつけて勝利した。

 それでも安倍晋三政権は「辺野古移設が唯一の解決策」と譲らなかった。翁長氏は仲井真氏の埋め立て承認を取り消し、国との法廷闘争で敗れると、承認の撤回を表明した。

 これ以上の対立激化を避けるためにも、国は基地建設のプロセスをいったん止め、改めて解決の道を探るべきだろう。

 次回知事選に向けては、自民党沖縄県連などが普天間飛行場のある宜野湾市の佐喜真淳(さきまあつし)市長の擁立を決め、自民系候補の一本化を進める。移設反対派は翁長氏死去を受け、候補者調整を急いでいる。

 自民、公明両党は沖縄の首長選で、基地問題を争点化することを避けてきた。佐喜真氏も辺野古移設への言及を避ける姿勢が目立つ。それでは沖縄の人々の思いに寄り添う解決策は見いだせない。

 翁長氏は「沖縄県が自ら基地を提供したことはない」「日本には地方自治や民主主義があるのか」と訴えていた。

 力ずくの手法はかえって反発を招く。それが翁長氏が残した教訓ではないだろうか。

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