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長崎原爆の日

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美空ひばりさんは、何曲か戦争のむごさを歌っている。有名なのは「一本の鉛筆」だが、そのレコードのB面「八月五日の夜だった」も、その一つだ▼「二人の明日を夢に見た 八月五日の夜だった 貴方(あなた)はどこに貴方はどこに」―。広島に原爆が投下される前夜、大切な人と指切りをして誓い合った将来の夢は、一瞬にして消えた、と悲しむ▼人々は飢えや病気、空襲で困窮しながらも、その日までは普段と変わらない生活を送っていたはずだ。井上光晴さんの小説「明日」も、原爆投下前日の長崎市民の暮らしを描く▼登場するのは結婚式を挙げた新郎新婦、難産の末、子供を産んだ女性、刑務所に収監中の夫に面会する妻ら。原爆については何も書かれない。だからこそ、理不尽さがより際立つ▼戦争は、市井の人々の当たり前の日々をも暴力的に踏みにじる。その残酷さの最たるものが原爆だろう。だが、唯一の戦争被爆国にもかかわらず、日本の核廃絶の動きは依然として鈍い。今も世界には、1万4千発を超える核弾頭が存在する。徒労感すら覚える▼しかし、諦めてはなるまい。広島で開かれた平和記念式典で、子どもたちの代表は「私たちは無力ではない」と訴えた。そうか、私たちは微力ではあるけれど無力ではないのだ。きょうは長崎原爆の日。大切な「当たり前の日々」を守るため自分に何ができるのか、改めて問い直したい。2018・8・9

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