PR
PR

豊洲の安全宣言 監視と情報開示、万全に

[PR]

 安全宣言がゴールではない。有害物質の監視を続けなければ、食の安全に対する信頼は築けない。

 東京都の小池百合子知事は先週、築地市場から移転する豊洲市場の土壌汚染について「安心、安全な市場として開場する条件が整った」と述べ、安全を宣言した。

 ただ、空気中の有害物質の濃度は基準値以下だが、地下水からは高濃度のベンゼンが検出されている。北海道などの産地からも移転を不安視する声は消えない。

 いま安全宣言した根拠は何か。10月11日の開場に間に合わせるためではないかとの疑念が残る。

 全国から食品が集まる巨大市場である。都は消費者や市場関係者に真摯(しんし)な説明を重ねるべきだ。

 都は移転の前提として、土壌と地下水の汚染を基準値以下にする「無害化」を目指してきた。

 小池氏は昨年夏、地下水の汚染値が高いことから無害化を断念し、魚や青果を扱う地上に有害物質が出ないようにする追加対策を行って開場する方針を決めた。

 地下をコンクリートで覆う工事などが完了し、専門家会議は科学的な安全が確保されたとの見解を示した。宣言はこれを踏まえた。

 とはいえ、宣言が消費者らの安心に直結するかは別問題だ。

 心配なのは地下水の有害物質濃度が基準値よりなお高いことだ。

 地下水位が今後も上がらない保証はなく、地下のコンクリートがひび割れする可能性もある。無害化断念は正しい判断なのか。

 都は今後も地下水の計測値を公表する方針だが、ひび割れなどの継続的な監視も必要だ。異常があれば即座に対応し、速やかに情報公開する。それが安心につながり、風評被害を防ぐことにもなる。

 小池氏が就任直後に移転延期を表明して2年。地下にあるはずの「盛り土」がないことが分かり、豊洲問題は全国から注目された。

 生鮮食品を扱う市場として適地なのかとの根本的な疑問も解消されていない。移転を推進した歴代知事や都議会は責任を免れない。

 一方で小池氏が解決しなければならない課題は依然として残る。

 築地の跡地を食のテーマパークにする構想は、昨年夏の都議選直前に打ち出したものの、進展がない上に豊洲の周辺整備も滞り、関係者の不信を買っている。

 築地では年500億円近い道産水産品が取引されている。移転後の安全が確立されなければ産地へのダメージは計り知れない。市場を開設する都のトップとして小池氏には責任ある対応を求めたい。

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る