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<舞台裏を読む>政界、マリリンに熱視線

 「枝野幸男代表と対談していただけませんか」。立憲民主党は3月下旬、平昌(ピョンチャン)冬季五輪カーリング女子で銅メダルに輝いたLS北見主将の本橋麻里さん(32)に、マネジメント会社を通じて手紙を送った。将来的な国政選挙への出馬要請を見据えた布石だった。多忙を理由に断られたが、同党北見支部の幹部は「子育てと競技を両立させてきた経験を生かし、政治の世界でも活躍してほしい」と諦める様子はない。

 本橋さんの出身地は、多くの五輪選手を輩出したカーリングの聖地・北見市常呂町。2006年トリノと10年バンクーバーの冬季五輪にチーム青森のメンバーとして出場後、故郷に戻りLS北見を結成した。15年に長男を出産。「ママ」として挑んだ3度目の五輪で、男女を通じ日本初のメダルをつかんだ。

 愛称は「マリリン」。自民党北見支部の幹部も「性別、年齢を問わず誰からも愛される存在。選挙に出てくれたら、無党派層を根こそぎ取り込める」と熱い視線を送る。「マリリンに会いたい」とばかりに、今後も各党のラブコールが絶えることはなさそうだ。

 政界とスポーツ関係者の縁は深い。有名なところでは、1984年ロサンゼルス五輪に出場した元プロレスラーの自民党馳浩衆院議員や、柔道で2大会連続(00年シドニー、04年アテネ)の五輪金メダルに輝き、旧民主党の参院議員を1期務めた谷亮子氏などの名前が浮かぶ。

 ウインタースポーツでは92、94年冬季五輪のノルディック複合団体金メダリスト荻原健司・元自民党参院議員らがいる。道内関連では、自民党の橋本聖子参院議員や堀井学衆院議員(道9区)がスピードスケートの五輪出場経験者だ。

 自民党本部の選対関係者は「全国的な知名度を誇る元アスリートは、参院比例代表などの候補者として魅力的だ」と話す一方、「当選回数を重ねても、政治家として大成するかは別問題」と指摘する。一時的な人気の高まりで当選しても、いずれ「賞味期限切れ」となる。国会活動や党務で汗をかき、周囲の評価を得なければ、政府や党の要職に就く道は開けない。

 本橋さんは6月下旬、女子の育成チームの設立を発表した。本橋さんをよく知る日本カーリング協会幹部は「新チームを軌道に乗せるまで政治の道に進むことはないだろう」と予想しつつ、「カーリング界全体を見渡す大局観や、将来を見通す天性の才能は政治家向き」と太鼓判を押す。

 アスリートの政治家転身は、スポーツ界にとっても、競技に対する国の支援と理解を取り付ける上でメリットは大きい。

 相思相愛の関係にも見えるが、著名人頼みの根底にあるのは、政界の人材不足だ。安易な人気取りが狙いでは、打診した相手に見透かされるだけ。マリリンから国政進出を快諾する「そだねー」の返事を引き出せる政党は、果たして出てくるだろうか。

(北見報道部 水野富仁)

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