PR
PR

遺贈 遺産を相続人以外に譲る 少額でも社会貢献が可能

 社会貢献などのため、これまでためてきたお金などを自分の死後、特定の人や団体に譲る「遺贈(いぞう)」に対する関心が高まってきました。その場合、遺言で自分の意思を残す必要があります。基本的な仕組みや注意点などを紹介します。

 ――「遺贈」の定義や、世間の関心の程度は。

 「遺贈とは財産のある人が遺言により相続人以外の人、団体にその財産(遺産)を与える行為です。少子化が進んだことや、単身の『おひとりさま』が増えたことなどが背景に指摘されています。遺贈を受け入れている機関の一つ日本財団(東京)が昨年3月に実施した世論調査では、親世代(60歳以上)の2割強が社会貢献のための遺贈に前向き。子世代(59歳以下で親がいる人)の半数弱は、親の遺贈に賛成の意向を示しています」

 ――例えば、どんな人が遺贈を考えるのですか。

 「日本財団によると、遺贈に踏み切る人は、子どものいない夫婦の場合、普段付き合いのない親族に残すよりは社会貢献に回したいという例があります。余計な財産を残して子どもたちが争ってほしくないという人も遺贈を希望するようです。また、相続人がいない場合、遺言書がないとその人の財産は国庫に入るので、それよりは自分で使い道を決めたいという人もいます」

 ――遺贈はどうすればできるのですか。

 「遺贈はお金のほか不動産なども対象になりますが、お金で贈るのが一般的なようです。遺言を残せば遺贈は可能になります。そして遺言執行者が遺言で指定された相手に遺産を贈る手続きをします。遺言執行者は相続人がなったり、弁護士など法律の専門家に頼むこともできます」

 ――遺言を残す場合に配慮する点は。

 「遺贈に詳しい札幌の今野佑一郎弁護士(山中法律事務所)は、遺言の付言事項の活用を勧めています。付言事項とは遺言書に思いを残す手紙のような記述です。遺贈なら『ある団体に、こんな風にお世話になったので』といった気持ちが死後に残せるので、周りも納得しやすいようです。そして自らの遺志で財産を残すことを示すため、場合によっては、遺贈について生前に家族と話し合うことも大切です」

 ――遺贈を選ぶ時の注意点は何でしょうか。

 「遺言で残せば、それが法定相続より優先しますが、すべて遺言の通りになるとは限りません。例えば遺言書に全財産を相続人以外の個人、団体に遺贈する希望を残したとしても、『遺留分(いりゅうぶん)』という制度が相続人にはあります。これは法定相続人が相続財産の一定割合を必ず確保できる権利です。例えば、法定相続人が配偶者と子ども1人の場合、配偶者と子どもは、遺言の内容にかかわらず遺産の4分の1ずつを確保できます。ただし、財産を残した人の兄弟姉妹に遺留分はありません」

 ――例えばどのくらい遺贈で残せばいいのでしょうか。

 「金額に決まりはありません。100万円単位、1千万円単位でなくともいいのです。今野弁護士は、例えば自分がお世話になった団体に運営資金などとして1万円でも5万円でも託すことの意義は大きいと指摘しています。その団体の関係者にとっては、遺贈という選択をしてもらったことが、活動や気持ちの支えにもなります。まずは自分の人生を振り返り、どういう個人、団体とかかわり、誰に感謝の気持ちを伝えたいのか、考えてみてはどうでしょうか。信頼できる人と話し合うことも自分の気持ちを整理する上で一つの方法です」(編集委員 福田淳一)

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
ページの先頭へ戻る