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<第8部 卸売市場かいわい>西胆振の幸 食卓へ50年 消費者と交流の取り組みも

 室蘭近海でとれた魚介類や西胆振の青果が集まり、早朝から競りの掛け声が飛び交う。室蘭市公設地方卸売市場は今年、日の出町に開設されて50年を迎えた。

 「食材の宝庫・西胆振」の象徴であり、半世紀にわたり「市民の台所」の役割を担ってきた。

 一方、建物は老朽化。市は5月、東町の旧道立室蘭高等技術専門学院跡地への移転新築方針を打ち出した。供用開始予定は2022年度。転換期でもある。

 市場に出入りするのは卸、仲卸、小売業者。一般の人は通常、立ち入りできないが、見学会の開催などで消費者と交流する取り組みが近年盛んだ。

 人口減に伴い、取引の量は徐々に減ったが、「地元の新鮮なものを地元の人に食べてもらいたい」と市場関係者の思いは熱い。

 卸売市場の敷地にまたがる関連店舗には、市場の姿を見守り続ける散髪屋や花屋も。観光客向けに店内で食べられる「イートイン」を始めた鮮魚店もある。

 場外市場には、生鮮食品を買い求める常連客や観光客との触れ合いがある。市場や周辺で働くさまざまな人の姿を紹介する。


 今関茉莉が担当し、2日から連載の本編を始めます。

■役割は 生産者の販路確保/流通安定化

 Q 卸売市場って何?

 A 地元や全国各地の生産者から魚や野菜を集め、競りに掛ける場所だよ。一番高い値段を付けた仲卸業者らが競り落とし、小売店や飲食店に販売する。生産者に農水産物の確実な販路を提供し、安定的に流通させる機能があるんだ。

 Q 仲卸業者の役割は。

 A 鮮度など品質を見極め、需要と供給のバランスも考えて競りで価格を提示する。適正な価格を形成するための大事な役割だ。

 Q 室蘭は中央市場だったね。何が違うの。

 A 人口規模などによって、国が認可する中央卸売市場と、都道府県が許可する地方卸売市場があって、地方の方が販売区域などの制約が少ない。道によると、道内の中央は札幌の1カ所のみで、地方は民間も含め73カ所。室蘭市公設地方卸売市場には現在、青果の仲卸業者7社と水産の仲卸業者9社が入っているよ。

 Q 「産地直送」という言葉もよく聞くね。

 A 消費者や店が卸売市場を介さないで生産者から直接仕入れることだね。道の駅だて歴史の杜伊達市観光物産館や漁協による朝市もその例。スーパーでも取り入れていて、従来の卸売市場の役割は小さくなっている。市場のあり方も変化が求められているよ。

■歴史は 120年前 海岸町の市場がルーツ

 室蘭の市場の歴史は古い。新室蘭市史によると、始まりは1898年(明治31年)、海岸町に誕生した“せり市場”。大正期にかけ、同町一帯に魚介類を売る威勢のいい声が響いた。

 戦後、室蘭魚菜卸売市場など民間3社の市場が並び立つ時代を経て1964年、市水産物卸売市場に統合された。現在の卸売市場の水産部の屋号「ミツウロコ」は統合した3社の名残だ。旧市場の建物は、西3号埠頭(ふとう)の基部にあった。

 中央卸売市場が開設されたのは、経済成長期の68年。物流の利便性から日の出町が選ばれた。国鉄の室蘭線から専用の引き込み線を設け、貨車で各地から生鮮食品を市場に集めた。

 だが、供給圏の西胆振6市町と白老町の人口の減少に伴い、市場の取扱数量は、青果が72年の5万7662トン、水産が80年の3万2622トンをピークに減少。2009年には「公設地方卸売市場」に転換した。

 近年は、市場や食材への関心を高めてもらおうと、市場関係者が消費者向けの催しに力を入れている。

 02年から毎年、「夏休み親と子の市場見学会」を開催。11年から始めた7月の「毛がに祭り」は不漁の影響で2年連続中止となったが、「来年こそ」との思いを強くしている。

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