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辺野古承認撤回 工事阻止への重い決断

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、翁長雄志(おながたけし)知事はきのう、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回すると表明した。

 対象の海域に軟弱地盤が存在していることが新たに判明したことなどが理由だ。

 政府はこれまで移設反対の地元の声を退け、力ずくで基地建設を推し進めてきた。「あらゆる手段で阻止する」と公言してきた翁長知事としてはやむを得ない決断だったのだろう。

 政府は重く受け止めるべきだ。

 基地建設のプロセスをいったん止め、県側と真摯(しんし)に話し合いを進めながら解決の道を探らなければならない。

 辺野古沿岸部の埋め立ては2013年12月、当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が承認した。

 翌年11月の知事選では、新基地建設の阻止を掲げた翁長氏が当選し、この承認は法的瑕疵(かし)があるとして取り消した。政府はこれを違法だとして提訴し、16年12月に県の敗訴が確定した。

 県は憲法が保障する地方自治の侵害だと訴えていたが、最高裁判決は手続きに論点が絞られ、辺野古移設の是非にも触れなかった。

 辺野古沿岸部の海底の岩礁破砕を巡り県知事の許可が必要かどうかを国と争った別の訴訟でも、3月の那覇地裁判決は、実質的な中身に入らないまま、県が求めた工事差し止めを認めなかった。

 埋め立て承認の撤回は、沖縄の現状に背を向けた判決が続く中で、翁長氏が取り得る数少ないカードの一つだったと言える。

 沖縄では11月の知事選を前に、辺野古移設の是非を問う県民投票を求める6万筆を超す署名が集まっている。

 地元の反対がこれほど強い中で、政府は早ければ来月17日から辺野古沿岸部に土砂を投入する方針を示している。そうなれば原状回復は困難になる。対立はさらに深まるだろう。

 安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と言っていたはずだ。政府は承認撤回を不服とし、再び法廷闘争に持ち込む考えも示している。これが寄り添う姿勢なのか。

 そもそも「基地のたらい回し」とも言える辺野古移設ありきの対応に問題がある。

 政府は沖縄の声にしっかりと耳を傾けた上で、米軍基地集中の解消や日米地位協定の改定などについて米側とも話し合い、解決策を見いだすべきだ。

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