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精神主義日本

 異常な熱波の居座りで、熱中症の被害が多発している。学校の屋外行事に参加した子供が亡くなったことは、日本の公立学校の教育に大きなゆがみがあることを物語る。

 気象台が熱中症への注意を呼び掛けているさなかにもかかわらず、教師は子供たちに屋外での運動を命じる。学校に冷房を設置すべきだという声に対して、行政担当者は金がないとか、昔は冷房などなかったと反論する。学校に飲み物を持参することを許さないところもあるそうだ。今の暑さは数十年前と比べて段違いだという事実認識がないままで、まともな政策論はない。

 永井荷風の日記の中に、戦中の精神主義の跳梁跋扈について、寒中に水を浴びることが精神修養に役立つならば、土用の炎天下で火鉢に当たることも精神修養に役立つのかとからかっている箇所がある。昔から、日本にはあえて苦痛を耐え忍ぶことが人間を立派にするという根拠のない信仰があり、それをとりわけ子供たちに押し付けるという風潮があった。現代日本の学校は大まじめでこの迷妄を実行しているようである。

 2年後の東京オリンピックが迫る中で、この種の精神主義はさらにいろいろな場面に広がっている。はっきり言って、猛暑対策はオリンピックの開催時期を秋にずらすことしかない。しかし、今更それはできない。そこで、打ち水で気温を下げようなど、竹槍でB29を迎え撃つたぐいの話がまじめに語られることになる。

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