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空路墓参 継続と円滑化に努力を

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 北方領土の元島民らが、航空機を利用して国後、択捉両島を墓参で訪れた。

 空路での墓参は昨年9月に続き2回目。前回は日帰りの予定が濃霧で1泊を余儀なくされたため、今回は日程を弾力化し、当初から1泊2日の計画で行われた。

 航空機による訪問は船舶より移動時間が短く、高齢化が進む元島民の負担軽減につながる。日程にも余裕ができ、元島民が定例化を求めるのは当然だ。

 しかし、空路墓参は首脳会談での合意に基づく一時的措置として行われており、今後の見通しは立っていない。

 北方領土墓参は冷戦下でも、一時期を除いて人道的措置として続けられてきた経緯がある。元島民の健康への配慮を、外交の駆け引き材料にすべきではない。

 日本政府は空路墓参の継続を粘り強く働きかける必要がある。

 今回は、元島民ら70人が22日に中標津空港を出発。国後、択捉出身者の2班に分かれ、両島で墓参りを行った。それぞれ島内で宿泊し、23日に中標津へ戻った。

 昨年より時間的に余裕があったとはいえ、訪問できたのは空港から近い墓地だけだった。

 日程や移動手段を工夫して行ける場所が増えれば、参加希望者はもっと多くなるだろう。

 北方四島の日本人集落の跡や墓地の多くは、道路も整備されていない海岸沿いにある。

 元島民が求めるヘリコプターの導入といった解決策を、日ロ両政府は探ってもらいたい。

 残念なのは、ロシア当局が墓参団関係者の所持していた衛星携帯電話を国内法に基づいて没収したことだ。

 墓参は、北方領土の主権問題を棚上げにする形で行うビザなし渡航の枠組みで実施している。

 だが、近年のビザなし渡航では、日本人講師らが手荷物の重量超過で教材を没収されるなど、ロシア側が自国の法制度を厳格に適用するケースが目立つ。

 同様のトラブルを繰り返さないためにも、日ロ両政府は事前協議で双方の認識の違いを埋め、合意を現地に徹底させるべきだ。

 元島民の平均年齢は83歳を超えた。家族らと一緒に四島を訪ねる自由訪問でも、負担軽減を望むのは無理もない。故郷を見たいとの思いをかなえるには、航空機による訪問の拡大が求められる。

 両政府は、負担軽減が「交渉カード」でなく、人道的な問題であることを忘れてはならない。

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