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公文書管理制度 再発防止は名ばかりだ

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 政府は財務省の決裁文書改ざんなど一連の不祥事を受け、公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)の再発防止策を決めた。

 公務員の意識改革に向けた研修強化や事後修正の原則禁止などを盛り込んだ。だが、「抜け道の主因」とされた公文書の定義などは明確化しなかった。

 森友・加計(かけ)問題や防衛省による日報隠蔽での焦点は、時の政権への忖度(そんたく)があったのかどうかだ。この再発防止策では、忖度による文書廃棄や改ざんの余地を残す。

 政権の影響を受けない独立した公文書管理の監視機関が必要だ。

 安倍晋三首相はかねて法改正に言及してきた。今回の内容は運用の是正など小手先にすぎない。安倍政権が再発防止の名を借りて、幕引きを図ったようにも見える。

 公務員が業務上関わるすべての文書を公文書とすることを前提に、組織も抜本的に見直すべきだ。

 公文書管理法では公文書を「行政機関の職員が組織的に用いるもの」と規定している。

 これを逆手に取り、今回の問題では重要な文書やメールを「個人メモ」「手控え」とするなど、都合の悪い文書を廃棄する口実ともなっていた。

 昨年改正された公文書管理のガイドラインも問題だ。外部との交渉記録は相手方の確認を取ることを求めている。これでは互いに都合の悪い記述は極力省こうとする意識が働きかねない。

 再発防止策はそうした点に踏み込んでいない。

 特定秘密を監視する内閣府の独立公文書管理監の権限を広げ、省庁のチェック体制を強化するというが、管理監は法律上、首相の下に置かれ、独立した権限はない。

 決裁文書の改ざんや組織的廃棄など悪質な事案については「免職も含む懲戒処分」で臨む方針が明記された。刑事罰を科すかどうかも課題だろう。

 罰則だけを強化すれば、公務員が重要文書を作らなくなる弊害も指摘されている。恣意(しい)的な管理を認めない仕組みが欠かせない。

 国立公文書館の職員は約190人で、文書管理の専門家(アーキビスト)に限れば30人しかいない。膨大な文書をチェックするには少なすぎる。専門職の育成も急がねばならない。

 公文書は主権者である国民のものであり、政策の決定や執行の過程を歴史の検証に委ねるために作成、保存される。

 民主主義の根幹を支えるためには、弥縫(びほう)策は許されない。

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