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米ロ首脳会談 成果の誇張は意味ない

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 トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が会談した。国際会議の場を除けば初めてだ。

 核軍縮の協議継続や、シリア内戦の収拾に協力していくことなどで一致した。トランプ氏は「とても建設的だった」と自賛したが、会談の中身は具体性に欠ける。

 対話を通じて、関係改善を図ることは重要だ。だが、聞こえの良い言葉をちりばめ、成果を演出するだけでは意味がない。

 両首脳は大国の責任を自覚し、2国間問題や各地で続く紛争の解決へ、共に行動する必要がある。

 米ロの戦略核弾頭の上限を定めた新戦略兵器削減条約(新START)に関しては、2021年に期限切れを迎えるのを前に、延長を含めて協議していくという。

 しかし、トランプ政権は2月、新たな核戦略指針でロシアの核開発を非難し、通常兵器に対して核兵器での報復を排除しないことや、小型核の開発を明記した。

 プーチン氏もこれに対抗し、米国による迎撃が困難な大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの開発に成功したと表明した。

 現実には両政権の下、核軍拡競争の加速が懸念されている。必要なのは核軍縮への明確な道筋だ。

 シリア内戦では米ロの対立が和平を遠のかせてきた。特にロシアが後ろ盾となるアサド政権軍による反体制派への攻撃は目に余る。

 政権軍の攻撃をやめさせ、和平への取り組みをどう再生するのか、肝心の部分を両首脳は語らなかった。成果とはとても呼べない。

 14年のロシアによるクリミア半島編入で米ロ関係は冷戦後、最悪レベルにまで冷え込んだ。

 だが、会談ではトランプ氏が編入を認めないという基本的な立場を伝えるにとどまった。

 米国は、欧州と協調して対ロ圧力を強めてきた。その姿勢を転換するかのようにも見える。これでは現状を追認し、ロシアの言い分を認めることになりかねない。

 米大統領選へのロシア介入疑惑への対応も不透明だ。会談3日前には米連邦大陪審がロシア情報機関の当局者ら12人を起訴した。ところが、トランプ氏は疑惑を全面否定するプーチン氏に同調した。

 米大統領が米中央情報局(CIA)などの結論を認めず、ロシア大統領の発言を支持するという奇妙な事態である。

 介入疑惑はトランプ大統領の正統性にかかわる。ロシアとの関係改善は自らの保身のためではないかとの疑念が拭えない。納得のいく説明が求められる。

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