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札幌市立大学 中島秀之理事長・学長インタビュー 

4年以内に仕事は激変-管理業務、担うのはAI 強み失う、大企業・銀行


 技術の進化で、人間が担っていた多くの仕事が、人工知能(AI)の仕事になっている。これまでの仕事が失われないかと不安を感じる人も多い。仕事場でのAIとの共存はどのように進んでいくのか。日本認知科学会の元会長で、情報学が専門の中島秀之(なかしま・ひでゆき)札幌市立大理事長・学長に聞いた。(経済部・宇野沢晋一郎)

 ――人間がやってきた仕事をAIができるようになっています。私たちの仕事がどんどん置き換わってしまうことへの不安を感じます。

 「いまのところ、AIは人間がやっている仕事を高速にするという用途にしか使われていません。でも、本当のAIの力はそれだけではありません。AIは企業の仕組みそのものを変えていくはずなんです。いまの企業はまだ『仕事ありき、組織ありき』で動いています。でも、正社員が多くを担っている管理やマネジメントの仕事はAIの方がはるかに上手にできるはずなんですよ」


 ――マネジメントをAIが担うとなれば、企業に所属する多くのホワイトカラーの仕事が失われてしまいませんか。

 「真っ先に変わるのは組織マネジメントを握る人事の仕事ではないでしょうか。個人の評価から一時金(ボーナス)の額の決定までAIがやった方が効率が良い仕事ばかりです。今の仕事がAIによって置き換えられるのなら、人間はどんな仕事をすればいいのか。そろそろ、恐れから一歩先を考えなければいけないでしょう。AIを仕事の場に使う本当のメリットは、その後に発揮されるのではないかと思っています」

 ――AIを仕事の場に使うことで、従来の企業の仕組みはどのように変わりますか。

 「中小企業と大企業の関係性は一変します。中小企業がAIをうまく使えば、煩わしい管理の手間をAIに任せることができ、すごく強くなれます。逆に大企業は厳しい。これまで、規模が大きいほど管理を効率良くできることが大企業の強みでした。でも、多くの選択肢の中から資金を得たり、部品を調達したりなどという業務はAIがしてくれるようになります。変化のスピードは速くなっていますから、小回りが利くというような中小企業のメリットの方が意識されるようになると思います」


 「銀行も状況は深刻です。銀行の重要な仕事である預金を集めて必要な人に貸すマッチングの仕事は、AIの方が得意だからです。お金が必要な人はこれまで、銀行に行くしか選択肢がなかったかもしれませんが、AIのサービスを使えば、いくつもの貸し手のうち誰からどれくらい借りたら有利かを、すぐにインターネット上で見つけられるようになります。人間の行うマッチングでは、コネとか別の要素が入り込んで最適な選択肢の提供にはならないかもしれませんしね」

 ――AIに仕事を奪われ、困ってしまう人がでてきませんか。

 「人事部の今の仕事がAIに置き換わると言いましたが、おそらく最終的な判断は人間が受け持つことになるでしょう。AIは有能な秘書のようなものです。AI任せにせず、人間が自分で見なくてはいけない部分もやはり出てくるはず。秘書任せにしている経営者は無能でしょ。それと同じです。AIの登場で働き方をどうするのかも、これから大いに議論しなくてはいけないテーマです」

 「かつて、自動車が普及したことで、人を運んでいた他の仕事はなくなったかもしれません。でも、運転手や自動車整備など多くの新たな職業が生まれました。AIを使った自動運転が広がれば、運転手の仕事がなくなると言われますが、結局、車に命令するのは人間なわけです。そういう時代になれば、おのずと人間がやるべき仕事がおこってくるはずです」

 ――AIによる仕事の変化はいつ頃、明確になってくると考えていますか。

 「4年後までには起こるでしょうね。グーグルの存在がインターネットの使い方を変えてきたように、大手IT企業がAIで全く新しい仕組みを作り出してくるかもしれません。私は囲碁でAIが人間に勝つにはあと10年ほど必要だと思っていました。でも、おととし、トップ棋士に勝ってしまいました(2016年3月に米グーグル傘下企業のアルファ碁が韓国の世界トップクラス棋士に4勝1敗と勝ち越し)。断絶的な変化は突然に起こります。ゼロから全く新しいものが突然、わっと立ち上がってきます」

 「今研究されているさまざまなAIを使ったシステムのうち、どれが出てくるかはまだみえていません。ただ、何が普及するにしても急に立ち上がって、世の中を変えてしまう。それがAI時代のイノベーションのあり方なんだと思います」

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