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市町村「圏域」化 自主性損なわぬ制度に

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 人口減少が進み、高齢化がピークを迎える2040年ごろには、小さな自治体の運営が行き詰まる恐れがある。

 その処方箋を練るため、首相の諮問機関である地方制度調査会(地制調)が2年ぶりに設置され、議論を再開した。

 たたき台となる総務省の有識者研究会の報告書は、中核的な都市を中心に近隣市町村が集まった「圏域」を法律で新たな行政主体に位置づけ、連携してサービスを行うことを提言している。

 これに対し、圏域主体のまちづくりを法律で強要すると、中核的な自治体が主導権を握り、周辺の自治体の独自性が失われるとの懸念が出ている。

 広域でのまちづくり自体は否定しないが、地域の自主性が損なわれぬことが前提である。小規模自治体の切り捨てにならない連携協力の仕組みを目指すべきだ。

 報告書は、すべての市町村がそれぞれに病院や学校、図書館などを備える「フルセット主義」からの脱却を訴える。

 ただ、効率性が偏重されれば、統廃合により公共施設が中核的な自治体だけに集積しかねない。

 周辺の自治体が、集落の拠点となるような公共施設を残す裁量さえ持てないとしたら、地域の衰退は避けられまい。

 道内では、国が主導して進めた市町村合併で行政区域が広がり、自治体の中心部と周縁部の格差も問題になっている。

 政府は、市町村合併の影響を検証し、同様の格差を生まないような対策を講じる必要があろう。

 北海道は広大な面積に市町村が分散し、すべての地域で圏域を形成できない可能性が高い。

 報告書は、こうした自治体については都道府県が業務を一部代行する制度などを提案する。

 道は既に、圏域形成が難しい地域の市町村を対象にした広域連携のモデル事業を独自に展開し、地域の特性に合わせた自治体運営の手法を探っている。

 空知管内奈井江町など6市町が1998年に発足させた「空知中部広域連合」は、自治体の自主性を保ちながら、介護の人材を集約し、事務経費の節減などで効率的な運営を実現した。

 政府に求められるのは、国が作った制度を画一的に押しつけるのではなく、地方の知恵や工夫を後押しする姿勢だ。

 地域のことは地域で決める。これが地方分権の原則であることを忘れてはならない。

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