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政府の成長戦略 存在意義はどこにある

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 成長戦略と銘打たれてはいるものの、実態は省庁の予算獲得の道具にすぎないのではないか。

 政府が先月閣議決定した「未来投資戦略2018」のことだ。

 人口減と人手不足が響き日本は低成長が続く。効率化で生産性を高める必要はある。ただ、この戦略はその方策として迫力不足だ。

 人工知能(AI)などの先端技術を活用して、各種の社会課題を解決する「ソサエティー5・0」の実現を目標に掲げる。「第4次産業革命」や「デジタル・ガバメント」などの言葉も躍る。

 だがよく見ると、小粒で効果の乏しい事業が目立つ。過去の検証を十分に行わず、次々と新戦略を出しているのも問題だ。現状では存在意義を疑わざるを得ない。

 成長戦略は第2次安倍晋三政権の発足このかた毎年策定されており、今回が6度目となる。

 今年の柱は自動運転の普及、AI技術を自在に使いこなせる人材の育成、中小企業の生産性革命―などだ。

 ところが、中小企業関連では、情報機器などを導入する企業への減税といった旧来型の政策が盛られている。「革命」と称するにふさわしいものだろうか。

 見過ごせないのは、成長戦略が予算作成の過程に事実上組み込まれているということだ。

 省庁が新規策を発案し、政府が成長戦略としてまとめる▽新規策が夏の概算要求に盛り込まれる▽財務省が年末にかけて予算化するという流れが恒例になっている。

 従来型の事業も、成長戦略に位置付ければ予算を獲得しやすくなる。役所が着目するのは、そこではないのか。

 一方、政権にとっては新機軸アピールの手段となりうる。

 成長戦略で掲げた目標が形骸化するのはそのためだろう。例えば「開業率と廃業率を米英並みの10%台に」との目標を掲げてはいるが、達成の道筋は「戦略」の中からは見えてこない。

 国民の安心・安全を脅かしうる施策も散見される。

 今回の成長戦略には、観光地での購買行動などを匿名のビッグデータとして民間企業に開放することがうたわれている。

 だがこれは個人データの外部流出の危険をはらむ。また、データが企業利益のために使われることの是非論は素通りされている。

 政府に求められるのは、国民が真に暮らしやすく働きやすい制度をつくり、民間の活力発揮と技術革新の環境を整えることだ。

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