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TPP11見据え変わる畜産・酪農 大規模農場「求む大卒」 東京・札幌で説明会 戦略的経営担う人材確保

 大学を来春卒業する人材獲得に、道内の大規模農場が奔走している。東京や札幌で会社説明会を開いたり、大手の就職情報会社に登録したりして学生集めに乗り出した。現場の人材不足のほか、来年早々ともされる環太平洋連携協定(TPP11)発効を見据え「戦略的な経営を担う人材が必要」なのも理由だ。畜産・酪農現場のIT化も進み、担い手のあり方も変わり始めている。

 「冷暖房完備の社宅を作りました。住まいの心配はいりませんよ」。トップファームグループ(オホーツク管内佐呂間町)の採用担当、井上和明さんは6月下旬、JR東京駅近くの貸会議室に学生を集め、訴えかけた。トップファームは今年3月から月1回、東京で単独説明会を開いている。希望者には現地で職業体験と面接を実施。すでに8人の学生に内定を出した。

 説明会に参加した東京の私大理系の男子学生は「北海道には縁もゆかりもないが、牧場での仕事に興味がある」、私大文系の女子学生も「生物に関わる仕事がしたい」と、説明に耳を傾けていた。

 トップファームは、肉牛1万2千頭を育てる大規模農場運営企業だ。2年前までは即戦力となる経験者が採用の中心だったが、今は「TPP11などで海外との競争になる。従来にない発想を持つ人材が必要」とし、東京での新卒採用活動に乗り出した。

 乳牛900頭を持つグランドワンファーム(オホーツク管内湧別町)も6月に札幌と東京で大学生向け説明会を開いた。採用担当の長尾光哲(みつのり)さんは「業務の中心はデータ分析など間接的な仕事に移っている」という。エサやりや乳搾りなどの現場作業の多くで機械化が進んだからだ。今春は北大大学院を修了した人材を採用し、乳牛の体調管理などのデータ分析に当たっているという。

 道内ではこうしたメガファームと呼ばれる企業組織の大規模農家が増えている。酪農の場合、乳牛100頭以上の農家は戸数では全体の2割ほどだが乳牛数は半分近く占める。このため、組織の運営、管理ができる人材の育成が課題となる。

 チーズ製造などを手がける中山農場(根室管内別海町)は大卒採用のため、今年初めて札幌の合同企業説明会に参加した。「スマートフォンを使う作業が増え、若い学生の方が慣れが早い」(採用担当の竹田全(あきら)さん)といい、来春は3人の新卒採用を目指す。

 将来の大規模化を見据えた動きも出てきた。従業員4人の酪農業トレジャーロッジ(釧路管内弟子屈町)は大手就職情報会社マイナビへの求人掲載を始めた。江上真一社長は「3年間で規模を倍にしたい。会社を引っ張る将来の経営人材を早めに獲得したい」と話す。(宇野沢晋一郎)

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