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<くらし ちょっと未来形>4 遺伝子検査 人生設計、治療の選択に

 自分の体の「設計図」である遺伝子を調べ、医療に生かす遺伝子検査が身近な存在になってきた。病気の早期診断や治療、出生前診断など幅広い分野で使われ始めている。

■発症前に予測も

 札幌市の友美さん(44)=仮名=は4年前、通常よりがんになりやすい体質をもつ「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」の遺伝子検査を受けた。祖母を卵巣がんで亡くし、乳がんになった別の親族が複数いたためだ。

 検査は自身も右胸に乳がんを発症し、温存手術を受けた5カ月後に行った。遺伝子変異が分かれば、当時小学生の娘2人も自分と同じ遺伝子変異を持つ可能性がある。「娘に十字架を背負わせることになるのでは」と心は揺れたが、「娘たちと生きたい。リスクを知る技術があるなら、知ろう」と決意した。

 結果は「変異あり」を示す陽性。2015年1月に両方の乳房を、同9月に卵巣と卵管を、それぞれ切除した。いずれもがんは未発症だった。予防的な切除に関し、ネットなどでは「健康な臓器を取るなんて」と批判的な声もある。だが、「切除する前は『明日にも発症するかも』という恐怖を抱えながらの生活だった。リスクを知り、未然にリスクを低減できたのは、私にとって幸運だった」

 遺伝子検査の広がりの背景には、大量の遺伝情報を高速で解析できる「次世代シークエンサー(遺伝解析装置)」の登場がある。かつては10年以上かかった1人分のゲノム(全遺伝情報)の解読が、同装置の飛躍的な性能向上により1日程度、低コストで可能になり、がんになりやすい体質などの検査結果が短期間でわかるようになった。

 妊婦の血液中に含まれる胎児のDNA断片を解析し、ダウン症、13トリソミー、18トリソミーの三つの染色体異常の可能性を高精度に判定する「新型」の出生前検査(NIPT)も、同装置の解析技術を応用する。日本では5年前から臨床研究として導入され、年間1万人以上が受けている。

 オホーツク管内の沙樹さん(42)=同=もその一人。「安心したい」と2月、妊娠11週目に受けた。1週間後の検査結果は陽性。胎児は18トリソミーだった。予想外の結果に頭が真っ白になった。出産か中絶か。決断できないまま受けた、かかりつけの産院での妊婦健診で、胎児の心拍が確認できず、すでに亡くなっていることがわかった。

 沙樹さんは「検査は簡単に受けることができた。でも、知ってしまったことで、不安でいっぱいになった」と振り返る。もし妊娠継続できていたら、自分はどう決断したのだろう。今も悩み続けている。

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