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遺志を継ぎ街かどミュージアム企画展 八戸

 青森県八戸市の産科医で、収集した吉田初三郎の鳥瞰(ちょうかん)図、浮世絵などの美術館を市内に設立、館長を務めた小倉秀彦さん=顔写真=が5月、73歳で亡くなった。同館学芸員で、父から館長を受け継いだ学さん(41)らは7日から、秀彦さん逝去後初の企画展を開いている。鳥瞰図と映画ポスターの同時展示を、との遺志を継ぎ、秀彦さん収集の邦画ポスターとロケ地が描かれた国内各地の鳥瞰図を並べた。「テーマは旅」と学さん。秀彦さんの魂は鳥瞰図を巡りつつ、日本中を旅している。

 秀彦さんは、分娩(ぶんべん)数が開業後だけで1万6千人を超える県南有数の産科医だった。美術にも詳しく、初三郎の鳥瞰図は貴重な原画数十点を含む千数百点、浮世絵は約2千点を収集。2012年開館の「八戸クリニック街かどミュージアム」で展示してきた。学さんは「趣味で集めたというよりも、地域に還元したいという思いがあった」と話す。

 一方、母が青森市で映画館を経営し、自身も一時経営に携わったことなどで映画への造詣も深かった。集めた洋・邦画計5千枚余のポスターは、同館の夏の企画展などで展示してきた。

 しかし学さんが昨冬、秀彦さんに夏の企画展について相談すると「鳥瞰図とポスターを絡めたいと言われた」。夏は鳥瞰図などが多湿で傷むため展示を避けてきたのに? 学さんは不思議に思ったが「自分が関わる最後の企画展ととらえているのでは」と感じた。

 学さんら同館スタッフは秀彦さんの遺志を継ぎ企画展準備に奔走。八戸市ロケの「幻の馬」(1955年公開)のポスターや撮影時のスナップ、弘前市ロケの「泳ぎすぎた夜」(2018年公開)のチラシなど邦画資料約130点と、「八戸市鳥瞰図」(1954年)など初三郎の作品15点を一堂に展示した。映画ファンという同市の前森淳子さん(65)は展示を見つめ「泣いて笑った当時の思い出がよみがえる。鳥瞰図でロケ地を探すのも楽しいですね」とほほえんだ。

 「労力は地域のために使う-が父の考え。その思いを継ぐとともに、どう(具体的に)伝えるか考えるのが私の仕事」と語る学さん。秀彦さんの妻・充子さん(73)は「お父さんは、初三郎のように鳥の視点から見てくれている」と優しく学さんを見やった。

 企画展「シネマの旅」は9月2日まで(月・火曜休館)。入館料は大人500円、高校生以下無料。問い合わせは同館(電話0178-32-7737)へ。

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