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医という漢字には矢が隠されている。詩人の吉野弘さんの詩「医」によると「病む者へ、まずは矢のように駆けつける心情」が医師には必要だからだという▼漢文学者白川静さんの「常用字解」をひもといてみた。「医」は、匸(けい)(隠された場所)に悪霊を払う力のある矢を置いた形だそうだ。大昔、病気は悪霊の仕業と考えられていた。矢を放ち病気を癒やすことが医。それを行うのが医師である▼他の職業以上に高い倫理性が求められる。そんな医師を育てる医大を舞台に、とんでもない不正が行われていた。私立大への文部科学省の支援事業を巡り、東京医科大が対象に選ばれるよう便宜を図る見返りに、同省前局長が自分の子を合格させてもらったとして、受託収賄容疑で逮捕された▼文科省は日本の教育行政を司(つかさど)る。とりわけ近年、入試の公平性や透明性を各大学に強く求めてきた。容疑が事実であるなら、何を言っても説得力に欠ける。一方、大学側では、前理事長と前学長が裏口入学に関与していたとされる。医大のトップ2人だ。「医は仁術」という言葉がむなしく聞こえる▼吉野さんによると、人の病気を治す医師に対して、国の病気を治す名手は「国手」と言うそうだ。「医」はこう結ばれている「『国手』―今一番欲しい人」▼文科省だけではない。中央省庁では、不祥事やトラブルが後を絶たない。国手はどこにいることやら。2018・7・11

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