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「共謀罪」法1年 やはり廃止するべきだ

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 「共謀罪」の趣旨を盛り込みテロ等準備罪を新設した改正組織犯罪処罰法が施行されて、きょうで1年となった。

 捜査機関がこの1年間に準備罪を適用した例はないようだが、油断してはならない。

 「共謀罪」法は、実際に起きた犯罪の摘発を原則とする刑事法の体系を大きく転換し、計画段階を広く処罰の対象にしている。

 憲法が保障する「内心の自由」を脅かし、市民の発言や行動を萎縮させかねない。危険な法律は即刻廃止すべきである。

 政府は、共謀罪とテロ等準備罪は異なると強調するが本質は何ら変わらない。

 対象となる「組織的犯罪集団」の定義や「何が罪に問われるのか」が非常にあいまいで、捜査機関による恣意(しい)的な運用への懸念が払拭(ふっしょく)し難い。

 テロ対策についても、既存の法律や空港の保安強化などで対処できるとの指摘はうなずける。

 一方、「共謀罪」法はテロ対策との結びつきが判然としない著作権法や森林法にまで処罰の網を広げている。

 防犯カメラ映像の取り扱いも気がかりだ。

 犯罪の計画を把握するために捜査機関が提出を求めるケースが考えられるが、令状などを要件としている自治体はまだ少ない。

 市民のプライバシーを保護するために、厳格な対処方法を決めておくことが肝心だ。

 さまざまな問題をはらんだ法律であるにもかかわらず、政府は昨年、参院の委員会採決を省略する「中間報告」という奇手まで繰り出して強引に成立させた。

 施行から1年がたったからといって、国会審議をないがしろにした極めて乱暴な手法を不問に付すわけにはいかない。

 安倍晋三首相は、昨年の通常国会閉会後の記者会見で「共謀罪」法について「必ずしも国民的な理解を得ていない」と認めている。

 ところが、その後、国民に誠意を持って対応しようとする姿勢は皆無に等しい。

 「丁寧な説明」を口にするだけで、実行を伴わない不誠実さは国民軽視のそしりを免れまい。

 「共謀罪」法を巡っては、いまも全国各地で反対集会やシンポジウムが続いている。

 政府は市民の根強い懸念に向き合う必要がある。

 野党の責任も重い。国会で議論を巻き起こし、粘り強く法の問題点を追及すべきだ。

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