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中国海警局 懸念拭えぬ軍事組織化

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 中国で日本の海上保安庁に相当する海警局が今月から、中央軍事委員会の指揮下にある武装警察に編入された。

 共産党が国家運営を統一的に管理する機構改革の中で行われた。海上警備の組織を軍の最高指導機関である軍事委の傘下に移す明確な理由は明らかにされていない。

 海警の公船3隻はきのう、組織移管後初めて、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入した。

 軍事力と警察力の融合が進み、海警が軍事作戦の一部を担うようになれば、尖閣周辺や南シナ海での緊張を高めることにつながりかねない。

 日中関係は首脳の相互訪問に向けて改善の途にある。中国は懸念の払拭(ふっしょく)に努めなければならない。

 日本も中国に対し、しっかりとした説明を求めるべきだ。

 海警はこれまで政府の国家海洋局に属しており、海警の公船が日本の領海に近づいた際、日本政府は海上保安庁が対応してきた。

 小野寺五典防衛相は「冷静な対応を継続する」として事態を注視する構えだ。まずは中国の意図を慎重に分析する必要があろう。

 中国国防省は海警の任務について「基本的な性質は変わらない」と説明している。

 だが実態は違う。すでに海警は5月以降、南シナ海で海軍との合同パトロールや、実弾射撃訓練を実施している。

 海警の軍事組織化が進み、公船の大型化や装備が拡充されることへの懸念は深まる。

 尖閣諸島では、日本が国有化した2012年9月以降、海警の公船が領海侵入を繰り返している。先月末には海軍の病院船が領海外側の接続水域を航行し、緊張が続いている。

 日中両政府は東シナ海などでの偶発的衝突を防ぐため、先月から、防衛当局の直接対話による通報体制「海空連絡メカニズム」の運用を始めた。

 だが対象は自衛隊と中国軍で、海警との取り決めはない。実効性のある制度が求められる。

 中国は海洋権益拡大を視野に、東シナ海の日中中間線付近でガス田開発の掘削船を新たに設置した。南シナ海では軍事拠点化を進め、国産空母建造のピッチを速める動きも見せている。

 08年の日中共同声明には「東シナ海を平和・協力・友好の海にする」ことが明記されている。

 日本は中国の挑発に乗らず、さまざまなレベルで対話を進め、相互理解に努めなくてはならない。

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