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エネ基本計画 「主力電源」の姿見えぬ

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 政府はきのう、「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定し、閣議決定した。

 太陽光や風力といった再生可能エネルギーを「主力電源化」するとうたっている。再生エネ活用は世界の流れと言えよう。

 ただ、2030年度の発電割合を22~24%とした従来目標は踏襲した。現在の15%と比べ、踏み込みが甘すぎる。

 理解に苦しむのは原発の扱いだ。「依存度を可能な限り低減する」とした一方、発電割合は20~22%で据え置いた。しかも前回と同様、重要な「ベースロード(基幹)電源」と規定する。

 再生エネ普及を狙いつつ原発も維持する。これではどっちつかずで、計画の体をなしていない。

 まず政府が認識すべきは、日本が再生エネ開発で世界に大きく後れを取っている現実だ。

 欧州などは巨費を投じて、発電コストを日本の半分ほどまで抑えた。世界の風力発電の発電能力は既に原発を上回っており、中国はその先頭を走る。

 高性能で安価な蓄電池の開発に加え送電網増強といった再生エネの普及策をどう具体化するのか、計画から道筋は見えない。

 一方、計画が描く原発の姿は矛盾したものだ。発電割合を現在の2%程度から20%超まで高めるというが、それには約30基の再稼働が必要だ。10基に満たない現状からかけ離れている。

 計画案について国が行った意見公募では、脱原発を求める署名が5万3400人分提出された。こうした民意はしっかり計画に反映されたのだろうか。

 福島の教訓は、原発が過酷事故を起こせば被害は甚大になるというだけに限らない。廃炉も含めて考えれば、原発は結局高くつくということだ。

 原発依存は現実的と言えない。その事実を示さないのは、国民に対して不誠実だ。

 今回の計画は、原発の使用済み核燃料を再処理する際に出るプルトニウムについて「保有量の削減に取り組む」と初めて明記した。

 プルトニウムは核兵器への転用も可能だ。それを日本が原爆6千発分も保有していることに米国が懸念を示した。

 再処理で取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やす「核燃料サイクル」は事実上破綻している。通常の原発で消費するプルサーマルでも十分に減らせない。

 政府は、説得力のある削減策を示す国際的責任を負っている。

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