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景況感連続悪化 外需頼みの弱さが出た

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 堅調な世界経済を背景に国内景気が好循環を続ける―。そんな筋書きに黄信号がともり始めた。

 日銀がきのう発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標である大企業製造業の景況感が5年半ぶりに2四半期連続で悪化した。

 「自国第一」を掲げるトランプ米政権による保護貿易政策への警戒感に加え、原油高に伴う原材料費上昇が重しとなっている。

 露呈したのは、外需に多くを頼る日本経済の弱さだ。このままだと、企業業績や個人消費が停滞する恐れがある。政府は、保護貿易といった外部の不安要因を取り除くよう、さらに努力すべきだ。

 その上で経済を真に強くするには、消費など内需の喚起が不可欠だ。政府は政策を見直し、内需主導型への転換を急ぐ必要がある。

 トランプ政権による鉄鋼輸入制限に端を発した貿易摩擦は、米中間や米欧間で互いに追加関税を課す報復合戦に発展している。

 日本にとっての大きな懸念は、主要産業の自動車に追加関税を課すトランプ氏の輸入制限方針だ。

 産業の裾野が広い自動車への関税が引き上げられれば、日本経済への打撃は計り知れない。

 政府は、関係国と連携してトランプ政権の理不尽な貿易政策の転換を働きかけねばならない。

 原油についても同じことが言えよう。イラン産原油の禁輸を一方的に各国に求めるトランプ政権の外交が原油高に拍車をかける。

 原油高は製造業や運輸業など、幅広い産業でコスト増をもたらし、経営を圧迫する。

 国内で気がかりなのは、中央と地方の格差拡大だ。巨額の利益を上げる大企業では賃上げが進み、都市部では高層ビルの建設ブームなど局所バブル的な現象が続く。

 賃上げなどの恩恵が届きにくい地方や中小企業には人手不足の逆風が強く働き、景気が下押しされている。現状の是正が急務だ。

 異次元緩和による円安と、それがもたらす大企業の収益増に頼るアベノミクスは実質賃金を上昇させていない。政府は従来の政策がもう通用しないと認めるべきだ。

 消費が上向かないのは、国民に将来不安が根強いことによる。

 持続可能な社会保障へ制度を組み替えると同時に、所得の再配分機能を強める。大企業に偏る賃上げを中小企業にも広げる―。

 こうした政策こそ、国民が安心してお金を使える経済、つまり内需がけん引する経済につながると心得てほしい。

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