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イラン原油禁輸 日本は米の要求拒否を

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 中東情勢を一段と緊迫化させ、原油の国際供給や世界経済にも悪影響を及ぼしかねない動きだ。

 イラン核合意から5月に離脱したトランプ米政権が、イラン制裁の一環として同国産原油の輸入を11月4日から全面停止するよう日本など各国に求めた。

 同月5日以降にイランと石油取引を行った国の企業も制裁対象とする厳しい内容だ。

 イランの収入源を断ち、核開発の道を封じる狙いだという。

 だが、秋の中間選挙に向けて、有権者に強硬姿勢をアピールする思惑ものぞく。

 輸入停止は、イランの態度硬化のほか、ガソリンや灯油など石油製品の高騰を招く恐れがある。

 自国中心の政策を進め、世界のエネルギー市場に混乱を招くことは許されない。

 日本政府は、輸入停止要求をきっぱり拒否し、トランプ政権に制裁中止を促すべきだ。

 核兵器製造につながるウラン濃縮を制限する代わりに原油禁輸制裁を解除する。これがオバマ米前政権と英仏独ロ中の6カ国がイランと3年前に達した合意の柱だ。

 そこからの一方的な離脱を正当化するかのような輸入停止要求に国際的な反発が広がっている。

 イラン経済は、先行き懸念から通貨急落や物価高騰に見舞われている。窮地の国を追い詰めるような外交手法は危うい。

 実際、米国に猛反発したイランは、ウラン濃縮能力を拡大する準備に入った。核危機への逆戻りは何としても避けねばならない。

 見過ごせないのは、トランプ政権の一貫性のなさだ。

 原油を協調減産してきた石油輸出国機構(OPEC)などが先ごろ増産で合意した背景には、トランプ氏の圧力があった。

 原油高によるガソリン高は、自らを支持する低中所得層に不評だからだ。

 一方でイラン産原油の禁輸を要求し、取引市場を攪乱(かくらん)した。増産効果は打ち消され、原油相場は供給不安から値上がりした。

 このまま原油高が進めば、堅調な世界経済の下押し要因となる。

 原油輸入の約5%をイランに頼る日本への影響は大きい。

 秋に灯油の需要期を迎える道内の家計負担が重くならないか気がかりだ。

 政府には「輸入停止やむなし」との声もあるようだ。しかし、理不尽な要求に迎合しても、かえって米国から軽く見られるだけではなかろうか。

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