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水産政策の改革 資源と漁村 守る視点で

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 水産庁は漁業権制度の抜本見直しを含む水産政策の改革案をまとめた。秋の臨時国会にも関連法改正案を提出する。

 1949年制定の漁業法が定める漁業権の規制を緩和し、未利用水域での養殖などに、企業の参入を促す。

 漁業の成長産業化を図る狙いがあるようだが、長年携わってきた地域の漁民にとって、資力の大きな競争相手が出現すれば、不安になるのは無理もない。

 参入ありきではなく、地元の声を聞き、双方に利益となる協調重視の制度を検討すべきだ。

 資源管理の強化も柱である。魚種別、海区別に漁獲枠を設定する漁獲可能量(TAC)は、対象魚種の拡大を打ち出した。

 200カイリ水域を中心に資源を守り、増やすことは大切だ。共済制度の充実などによって収入の安定を図りながら、持続可能な漁業への道筋をしっかりとつけたい。

 水産政策は、政府の規制改革推進会議が昨年から議論してきた。

 改革案では都道府県が漁業権の免許を与える際、地元漁業者らを優先する制度は廃止した。

 ただし、既存の漁業者が海域を活用している場合は優先され、それ以外は水産業の発展への貢献度で参入の可否を判断する。

 マグロ養殖といった企業参入の成功例も参考に、経済振興や担い手確保に役立ててほしい。

 短期的な利益目当ての参入や、安易な撤退を招かぬよう、チェック機能強化も不可欠だ。

 一方、資源管理の柱であるTACについては、対象魚種を現在のマイワシ、サンマ、スケソウダラ、スルメイカ、クロマグロなどの8種類から、漁獲量の8割を占める程度まで拡大する方針だ。

 さらに準備が整った魚種から漁船ごとの個別割り当て方式を導入する。この手法はノルウェーやアイスランドで効果を上げている。

 漁獲量の競争ではなく、枠内でいかに魚の価値を上げて利益を出すかを競う漁業へ転換できれば、意義は大きい。

 前浜漁業などでは漁期や漁法の規制で、安定生産を続ける例もある。TAC強化が押し付けにならぬよう、都道府県や漁協などとの入念な調整が欠かせない。

 改革案は生産性向上も掲げ、資源管理の強化と同時に、漁船の大型化を認める姿勢も示している。

 大型化によって、資金力のある経営者ばかりが有利になりはしないか。乱獲につながらないか。慎重な対応を求めたい。

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