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地上イージス 導入ありき見直しの時

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 小野寺五典防衛相は先週、北朝鮮に対するミサイル防衛(MD)強化の柱である地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入に向け、候補地の山口、秋田両県を訪れて理解を求めた。

 米朝首脳会談後の緊張緩和について小野寺氏は「北朝鮮の脅威は何も変わっていない」と述べ、従来通り配備の必要性を強調した。

 確かに北朝鮮の非核化は具体化されておらず、弾道ミサイルを廃棄する動きもない。だが「脅威」の継続を前提に配備ありきで前のめりになる政府の姿勢は疑問だ。

 政府は、弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練は中止を決めた。菅義偉官房長官は「日本にいつミサイルが向かってくるか分からないという厳しい状況は緩和された」と述べている。

 なのに、地上イージス導入の方針は変わらないというのは説得力を欠く。導入を見直し、非核化の実現や弾道ミサイル廃棄に向けた外交努力に全力を傾けるべきだ。

 2023年度の導入を目指す地上イージスは、2基で約2千億円の費用が見込まれている。

 秋田市で配備予定の陸上自衛隊演習場は市街地に近く、電磁波の影響が懸念されている。防衛省が小野寺氏訪問の前日に測量調査の一般競争入札を公告し、手続きを先行させたことにも反発が出た。

 佐竹敬久秋田県知事は「地元感情を軽視している」と批判。国際情勢の変化で配備の必要性に疑義を呈する指摘は、佐竹氏、村岡嗣政山口県知事の双方から出た。

 効果も疑問視されている。地上イージスに搭載する日米共同開発の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」は迎撃実験に2度失敗している。そもそもMDによる完璧な迎撃は不可能である。

 それでも導入を急ぐ背景に、米国製の装備品購入に期待感を示すトランプ政権の存在を指摘する声が、政府関係者から出た。

 飯島勲内閣官房参与は先週のBS番組で「トランプ大統領に押しつけられて購入する状態だ」と述べた。事実なら見過ごせない。

 年末の防衛大綱見直しに向け政府は、敵基地攻撃も可能となる巡航ミサイルの導入を決め、護衛艦「いずも」の空母化を検討している。いずれも専守防衛の原則に反するもので認められない。

 ところが自民党は、これらの装備導入などを視野に防衛費の国内総生産(GDP)比は2%を目安とする提言をまとめた。緊張緩和の流れを全く認識していない論外の内容だと言わざるを得ない。

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